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FBとインスタの大規模障害、復旧の兆しも約178億円の経済損失

2021年10月5日(火)11時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

停止の原因は?

Facebook、Instagram、WhatsApp、Facebook Messengerで発生している不具合の原因は、DNS(ドメインネームサーバー)の可能性が高い。ウェブセキュリティ会社Cloudflare(クラウドフレア)のデーン・クネヒト氏によると、ネットワークがインターネットトラフィックを配信するために使うBorder Gateway Protocol(BGP)レコードがFacebook社内の誰かによって更新された可能性がある。BGPとは、世界中のインターネットサービスプロバイダー(ISP)が、どのプロバイダーがどのアドレスの特定のグループにトラフィックをルーティングする責任があるかについての情報を共有するメカニズムで、BGPが正しくないと、ウェブブラウザは例えば「Facebook.com」の場所が分からず、エラーになる。

刻々と膨れる経済損失

膨大なーユーザーが私的にもビジネスにも利用する巨大SNSの不具合による経済的打撃も大きい。ネット環境の問題を分析・レポートするNetBlocks(ネットブロック)社からは、SNS不具合によってすでに世界経済に1億6,000万ドル(約177億5,000万円)の損失が発生し、Facebookの株価は5%以上下がったとの推定が出ている。

インドのデリーでオンライン食品配達サービスを運営しているサミール・ムニールは、Facebookページでビジネスを宣伝し、WhatsAppを介し注文を受けているため、顧客への連絡もできない、注文処理も無理な状態でお手上げだ。「すべてがダウンしている。私のビジネスすべてが...」。

これだけではない。メンタルヘルスに焦点を当てたファッションブランドを運営するアイルランドのスタートアップMarkDonnelly(マークドネリー)社は、「Facebookのダウンのせいで、数千もの売り上げが消えた」「それほど多くないかもしれませんが、私たちは4時間か5時間の売り上げを逃すと、その月の電気代と家賃が支払えるかどうか死活問題になりかねない」。

FB社内も混乱

Facebookの内部システムも機能しなくなったため、従業員も混乱している。米New York Timesによると、サービスだけでなく、Facebook社内のメールやツールも停止した。従業員は、支給された携帯電話から電話をかけたり、社外の人からメールを受信したりするのに苦労したという。

同社従業員とニューヨークタイムズとで共有された内部メモによると、Facebookのグローバルセキュリティチームは「Facebookのすべての内部システムとツールに影響を与えるシステム停止の通知を受けました」。これらの「ツール」には、セキュリティシステム、カレンダー、スケジューリングツールが含まれているとみられる。

オフィスでの仕事に戻った従業員の中には、デジタルバッジが機能しなくなったため、建物や会議室に入ることができなかった人も。セキュリティエンジニアがサーバーエリアにアクセスできない事態になり、迅速な評価が妨げられたという。カリフォルニア州サンタクララのデータセンターにある会社のサーバーは「手動リセット」が試みられた。

Facebook社のグローバル・セキュリティ・オペレーション・センターは、今回の障害を「国民に対する高リスク、資産に対する中リスク、Facebook社の評判に対する高リスク」と判断したという。

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