最新記事

アフガニスタン

タリバン「公開処刑再開」の一方で、若い戦闘員は青春を満喫

Image Problem: Taliban Warn Foot Soldiers Against Selfies, Sightseeing, Stylish Clothes

2021年9月28日(火)17時48分
ナタリー・コラロッシ
自撮りするタリバン兵士

パーティーを自撮りするタリバンの若者(カブール、2020年5月26日) Mohammad Ismail-REUTERS

<地方から都会に出てきてファッションや自撮りに興じる若い戦闘員たちが、強面タリバンのイメージを傷つける>

アフガニスタンを実効支配するタリバン政権の国防相は、タリバンの若い戦闘員たちがファッションやセルフィーに気を取られるなど風紀が緩んでいることを憂慮、タリバンのイメージを「傷つける」と叱責した。

マウラウィ・モハマド・ヤクーブ暫定国防相は23日に行った演説で、戦闘員たちを激しく叱責した。カブールで観光やアトラクションを楽しむ若いタリバン兵の写真がネットで拡散されたのだ。タリバンには、農村や山岳部育ちでこれまで都市で遊んだ経験などない若者が多い。それが「大都会」のカブールに出てきたのだからむしろ当然のなりゆきだろう。

<動画>ジムや遊園地ではしゃぐタリバン戦闘員

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、「与えられた任務に専念せよ」と、モハマド・ヤクーブは戦闘員たちに警告した。「お前たちは殉教者の血で作られた私たちのイメージを傷つけている」

若い戦闘員がタリバン幹部と撮った記念写真も拡散しており、構成員の安全を損ないかねない行為だと、モハマド・ヤクーブは息巻いた。

ひげを剃ったり髪をカットしたりおしゃれにも熱心で、衣服もイスラム法の定めに反していることもあるという。

流行のファッションを自慢

最近の写真では、最先端のヘアスタイルや流行の服、サングラスやハイトップのスニーカーなどを見せびらかす様子が見られ、厳格な保守派のリーダーたちから厳しい批判を招いている。

「これは、軍閥リーダーや暴力組織がやることだ」と、モハマド・ヤクーブは言った。「われわれがこのような行動を続ければ、神が許さない。われわれはイスラムの制度を失うだろう」

タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧し、国の実権を握ったのは、今年8月15日。その後全国から何千人もの若いタリバン戦闘員が出てきてカブールに配備された。

政権奪取以来、タリバンの戦闘員は1990年代の最初のタリバン統治時代を彷彿とさせる暴力的な行為をたびたび行ってきた。

9月25日には、西部の都市ヘラートの中央広場でクレーンから犯罪容疑者の遺体をつるしたことが報じられた。AP通信によると、これはタリバンが政権を取って以来、初めての公開処刑とみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

フランスでもガザ反戦デモ拡大、警察が校舎占拠の学生

ビジネス

NY外為市場=ドル/円3週間ぶり安値、米雇用統計受

ビジネス

米国株式市場=急上昇、利下げ観測の強まりで アップ

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、4月は49.4 1年4カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中