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自民党総裁選4候補の対中政策と中国の反応

2021年9月20日(月)21時04分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

一方、「親子は別人格」だと思っているが、しかし河野太郎氏の父親で「河野談話」で知られる河野洋平氏は9月15日、都内の青木幹雄・元参院議員会長の事務所を訪れ、息子・太郎氏の「支援に協力を求めた」ようだ。16日の読売新聞が<父親として居ても立ってもいられず...悲願成就へ河野洋平氏、かつての「参院のドン」訪問>と伝えている。

これでは9月12日のコラム<河野太郎に好意的な中国――なぜなら「河野談話」否定せず>に書いた中国の観察が正しかったことになるではないか。

河野氏はスピーチがうまいし、原稿に目を落とさないという点では高く評価する。しかし、本人が媚中的なだけでなく、韓国に融和的姿勢を見せる石破氏が応援していたりなどという点を見ると、河野氏が総理大臣になることを考えただけで日本の未来は絶望的なほど尊厳を失っていくだろうと暗澹たる気持ちになってしまう。

岸田文雄候補

同じ場面で比較するなら、18日に日本記者クラブで行われた公開討論会で、日中関係に関する記者からの質問に対して岸田氏は主として以下のように答えている。

●首脳を始め要人の対話はすべての基本になる。ぜひこうした対話は続けていかなければならないと思っている。

●来年の日中50周年に向けて、少しずつ人的交流を積み重ねながら、将来を探っていく。なかなか今すぐには未来の方向性は見通せませんが、こうした手がかりは大事にしていかなければならないと思っている。

「人的交流」を重んじ、結局来年の日中50周年記念では、習近平の国賓来日を推進するかもしれないという意味では河野氏と変わらないが、しかし敵基地攻撃能力に関しては「抑止力として用意しておくことは考えられる」と肯定的な回答をしており、ウイグル族など少数民族の弾圧に関する人権問題を担当する首相補佐官を新設する方針も明らかにしている(読売新聞<岸田氏、少数民族弾圧など人権問題担当の首相補佐官新設へ...動画ライブ配信>)ことを考えると河野氏と同じなわけではない。

総体的に見ると、岸田氏には、どの方向にでも行けるような曖昧模糊としたところがあり、「中庸」といった印象を与える。

実は岸田氏が外務大臣だったころ、NHKの「日曜討論」に同時出演したことがある。日米安保に関するやや厳しい質問をしたかったので、事前に番組司会者に生放送で聞いていいか否かを尋ねたところ、「大いにぶつけて下さい。大歓迎です」と激励されたので質問をした。

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