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アフガニスタン

バイデンの失敗で、テロ組織をめぐる「力学」は9.11以前の状況に逆戻りした

WAR ON TERROR FAILING

2021年9月15日(水)18時39分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)

しかし、バイデン政権が「NATO非加盟の主要同盟国」パキスタンを罰する可能性は低い。アフガニスタンの新たな神権独裁政権と関係を構築する上で、パキスタンと、もう1つの長年のジハーディスト支援国カタールはアメリカの頼みの綱だ。

アメリカは振り出しに戻った。タリバンが庇護するウサマ・ビンラディンが首謀した9.11は、アメリカが80年代以降、イスラム主義組織と結んだ厄介な絆の産物だ。当時、アフガニスタンに侵攻したソ連への武力抵抗を促すため、アメリカはイスラム教をツールとして利用した。

ビンラディンも、今回アフガニスタン首相代行に就任したモハマド・ハサン・アフンドも、もとをたどればCIAの秘密戦争の戦士だった。

9.11から10年たたないうちに、アメリカはシリアやリビアの体制転換を目指して、ジハーディストの訓練や武器供給を再開した。シリアの反体制派には、CIAが年間10億ドル相当の武器を提供してきた。

対テロ戦争が実質的に暗礁に乗り上げたのは、9.11の教訓を忘却したからだ。ジハーディズムという災いが「21世紀の危機」と化す惨事を防ぐには、極めて困難な挑戦だが、対テロ戦争を正しい軌道に戻すことが欠かせない。

©Project Syndicate

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