最新記事

スパイウェア

イスラエル企業開発のスパイウェア 世界中の記者や活動家を監視か

What We Know About Alleged NSO Group Malware

2021年7月20日(火)19時21分
ゾーイ・ストロゼウスキ

ガーディアン紙は、2018年に監視対象の候補に選ばれていた人物の一人が、フィナンシャル・タイムズ紙のルーラ・ハラフ編集長だったと報じた。またメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領に近い少なくとも50人(家族や側近、担当医などを含む)もリストに掲載されていた。

アムネスティ・インターナショナルの調査では、2018年に殺害されたサウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギの妻と婚約者のスマートフォンも「ペガサス」に感染したり狙われていた。

ワシントン・ポストによれば、収監されている政治活動家ナアマ・アスファーリーの妻であるクロード・マンジャンのスマートフォンも、「ペガサス」に感染していた。

イングルトンは、「NSOグループはもはや、ペガサスが犯罪対策のためだけのものという主張を隠れ蓑にすることはできない。NSOのスパイウェアが、組織的な人権侵害に組織的に利用されていることを示す、十分な証拠がある」と述べた。

高度なセキュリティ機能も突破か

アムネスティ・インターナショナルの報告書は、グーグルのスマートフォン向けOS「アンドロイド」が搭載された数多くのスマートフォンも標的になっていたことが分かったという。

「アップルはセキュリティおよびプライバシー保護機能を誇るが、NSOグループがそれを大きく損なわせた」とイングルトンは言う。「これは世界的な懸念事項だ。あらゆる人がリスクにさらされており、アップルのような巨大ハイテク企業さえが、大規模な監視に対処する準備ができていない」

2013年に米国家安全保障局(NSA)の機密情報を暴露した元CIA職員のエドワード・スノーデンは、今回の疑惑を受けて、ツイッターでNSOグループを次のように非難した。

「NSOグループは、自分たちが売ったデジタル感染ツールの標的にされた人々の死や拘束について、直接的な刑事責任を負うべきだ」

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

COP30が閉幕、災害対策資金3倍に 脱化石燃料に

ワールド

G20首脳会議が開幕、米国抜きで首脳宣言採択 トラ

ワールド

アングル:富の世襲続くイタリア、低い相続税が「特権

ワールド

アングル:石炭依存の東南アジア、長期電力購入契約が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中