最新記事

米政治

アメリカ二大政党制が迎えた限界...ついに第三政党の躍進へ機は熟した

IT’S TIME TO PARTY

2021年7月2日(金)17時54分
デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)

大学教育を受けた若い白人左派が話題性の高い政治問題をあおることで、穏健な労働者階級の非白人を民主党から遠ざけていると、ショアは主張する。実際、多くの民主党有力者は20年の下院選で議席を減らした元凶として党のリベラルなスタンスをやり玉に挙げている。

20年11月、カリフォルニア州で州機関や大学入試における差別是正措置(アファーマティブ・アクション)の復活に道を開く住民投票が、ヒスパニック系やアジア系の反対で否決されたのもこの動きの一環だと、元共和党下院議員で現在は中道派のコモンセンス党の議長を務めるトム・キャンベルは言う。

中道派の第三政党が一部の民主党支持者を引き付けられれば、大統領選の展望が開けるかもしれない。無党派層の大半と共和党支持者の3分の1、民主党支持者の5分の1を獲得すれば、選挙に勝てる計算だ。

従来の常識では、アメリカの選挙制度は大政党に有利であり、新党は二大政党が150年以上かけて築いてきた資金調達能力や幅広い支持基盤に押しつぶされるとされている。だがイギリスやカナダ、インド、フィリピンなど、アメリカと同様の小選挙区制を採用している国には、一定の力を持つ第三政党が存在する。

過去に躍進した第三政党は?

アメリカが全くの例外というわけでもない。19世紀にはノウ・ナッシング党や自由土地党など、重要な第三政党がいくつも存在していた。

19世紀前半に民主党と共に二大政党制を成立させたホイッグ党は、第三政党の台頭により凋落した。それが元同党所属の下院議員エイブラハム・リンカーン率いる共和党だった。

以後、当選可能性のある第三政党の大統領候補が登場したのは1912年だけ。大統領を2期務めたセオドア・ルーズベルトが共和党の指名争いでウィリアム・ハワード・タフトに敗れ、進歩党を結成して出馬。民主党のウッドロー・ウィルソンに次ぐ2位に入ったのが唯一の例だ。

210706P52CQ_DST_03.jpg

1992年大統領選で健闘したペロー Maureen Keating-CQ Roll Call/Getty Images

現代の米大統領選で一定程度の支持をつかんだ第三政党は2つしかない。68年に約14%の得票率を記録したジョージ・ウォレスのアメリカ独立党と、92年に20%弱の票を獲得したロス・ペローの改革党だ。

ペローは中道路線を打ち出し、民主・共和両党の支持者をほぼ同数引き寄せた。そのため現代における第三政党の概念を示すモデルとしてよく持ち出される。選挙戦の序盤では支持率トップを誇ったからなおさらだ(途中でいったん出馬を取り下げて勢いを失い最終的には敗れたが)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英住宅ローン承認件数、12月は24年6月以来の低水

ビジネス

ユーロ圏GDP、第4四半期は前期比0.3%増 予想

ビジネス

直近1カ月の為替介入ゼロ、財務省発表 日米連携で円

ワールド

トランプ氏、プーチン氏にキーウ攻撃停止を要請=ロシ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 6
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 10
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中