最新記事

アメリカ政治

トランプにうんざりの共和党員が大量離党 右傾化に拍車か

2021年2月23日(火)09時59分

米共和党から党員の離脱が急増している。写真は2020年11月、ニューヨークで大統領選の開票状況を見守る共和党支持の少年(2021年 ロイター/Andrew Kelly)

米共和党から党員の離脱が急増している。連邦議会襲撃事件をめぐるトランプ前大統領の言動に反発した穏健派党員が中心とみられ、来年11月の次回中間選挙の共和党候補者を決める党予備選で、共和党の右傾化がさらに強まる可能性がある。

離党者は、大都市周辺で左派色の強い郡に集中している傾向が強い。政治アナリストによると、穏健な共和党員が主な離党者であることを示唆している。

フロリダ、ペンシルベニア、ノースカロライナの各州では最近、計6万8000人余りが共和党員をやめたことが、州の有権者登録データで分かった。いずれも次回中間選挙後の連邦議会多数派維持を狙う民主党にとって、鍵を握る州だ。この離党者数は、同じ期間の民主党の約2万3000人に比べると3倍近い。

離党の動きが続けば、共和党の予備選で優位に立つのは、幅広い有権者の意向を反映する政治家ではなく、トランプ氏支持層に受けの良い政治姿勢を打ち出す候補者になるだろう。

民主党員となる離脱者も

スタンフォード大学の政治学研究者モリス・フィオリーナ氏は、次の中間選挙で共和党候補が民主党候補よりも多い票を集めるのは一段と難しくなる可能性があると予想。「穏健な党員が去って2度と戻ってこなければ、共和党にとって本当に悪いニュースだ」と話した。

州の有権者登録ベースでは、共和党を離れた人の大半は無党派として登録し直しており、さもなくば少数政党の党員と登録し直しているが、民主党員として登録し直した人も多い。

共和党離党者の急増は、大統領選で敗北した後もなお党の実質的なトップとして影響力を行使しようとしているトランプ氏の動きと軌を一にしている。トランプ氏は今週、上院院内総務で党の最重鎮のミッチ・マコネル氏を猛烈に批判。弾劾裁判を巡り、マコネル氏が無罪評決を下しながらも、トランプ氏には議会襲撃の責任があると発言したことに反発した。

共和党全国委員会の広報担当者は大量離党問題についてはコメントを拒否したが、「全米の国民は、共和党が彼らのために戦う党だと分かっている」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=

ワールド

EU、27年までのロシア産ガス輸入全面停止へ前進 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的、と元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中