最新記事

韓国政治

誰が文在寅を支持しているのか:韓国

2021年6月28日(月)18時30分
佐々木和義

一方、専従者ではない組合員が組合活動を行う際の労働免除の上限が緩和された。社内の活動には支障がないが、上部組織が主催するデモや会合等に出席すると、上限を超えることになりかねない。組合活動に制限を加えた保守政権に反発する労組は、文在寅政権を支持している。

また、文在寅政権はフェミニスト大統領を標榜し、女性を閣僚に起用して、廃止が取り沙汰されてきた女性家族部を拡充した。朴元淳前ソウル市長も2016年から20年までの5年間に女性団体をはじめとする市民団体に7000億ウォン余りの支援金を支給した。朴元淳氏が市長に就任した2011年に1278だった登録市民団体は2020年には2295団体まで倍増した。一般に男性は社会的立場で政党を選ぶが、女性は思想で選ぶ傾向が強く、また結束力が強い特徴がある。

文在寅政権を支持した20代や30代の与党離れが進んでいる

発足時に文在寅政権を支持した20代や30代の与党離れが進んでいる。国民の力は1997年、ハンナラ党として結成。2012年、セヌリ党に改称した後、17年2月の朴槿恵大統領の罷免で離党者が続出した。2020年にセヌリ党を継いだ自由韓国党を中心に保守系政党が統合して再結成した。

主要支持層はMB(明博)派や親朴派だ。ソウル市長と大統領を歴任した李明博氏の下で頭角を現した人たちはMBジュニアと呼ばれており、今年、ソウル市長に返り咲いた呉世勲(オ・セフン)氏もその一人だ。

親朴派は朴正煕元大統領の信奉者で、その娘である朴槿恵前大統領を支持している。また、与党が親日派と名指しする羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)などが所属しており、日韓関係が悪化して以降、日本贔屓を取り込んでいる。

なかでもMB派や親朴派は中高年者が多いことから、前身であるセヌリ・自由韓国党を中高年のための政党とみなした若者たちは文在寅政権を支持してきた。しかし、文政権の労働政策で青年層の失業が増え、不動産政策の失敗で30代はマイホームの夢が遠ざかった。若い党首が就任した国民の力に支持が移っている。

日韓関係の鍵は、次期大統領にかかっている

来年3月の次期大統領選に注目が集まっている。大統領の被選挙権は40歳以上のため、国民の力の新党首は出馬できない。人気が高い尹錫悦前事務総長は6月24日、大統領選への出馬を表明した。共に民主党は、出馬を表明した李在明京畿道知事派と反李在明派で割れている。もう一つ注目されている日韓関係の鍵は、次期大統領にかかっているという見方が強い。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中