最新記事

韓国

韓国駐在ベルギー大使のキャリアが妻の暴力で終わった瞬間

Belgium's South Korea Ambassador Loses Job After Security Footage Shows His Wife Slap A Shop Worker

2021年6月1日(火)19時36分
コートニー・ブローグル

万引きと間違われて店員を叩く大使夫人(右) South China Morning Post/YOUTUBE

<妻が韓国人店員をぶった動画が公開されて、ベルギー大使の解任が決まった。「とても落ち着いて職務を遂行できる状態ではなくなった」ためだ>

駐韓ベルギー大使が、ソウルの衣料品店で店員に暴行を加える妻の動画が韓国ネットユーザーの間で炎上したせいで、大使を解任された。

ソウルにあるベルギー大使館がフェイスブックで公開したプレスリリースによれば、ピーター・レスクイエ駐韓ベルギー大使は、妻が衣料品店の店員に暴行を加えたとされる問題を受け、駐韓大使の任を解かれたという。

「ピーター・レスクイエは過去3年にわたり、駐韓ベルギー大使の職務を献身的に務めてきた」と、リリースにはある。「だが現状では、これ以上、落ちついて職務をまっとうできないことがはっきりしていた......(ベルギーの)ソフィー・ウィルメス首相は、韓国におけるレスクイエ大使の任期を今夏で打ち切ることが、二国間関係にとって最善と判断した」

問題の動画はサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が入手し、4月上旬にフェイスブックに投稿した監視カメラ映像。レスクイエの中国人の妻、相雪秋(シャン・シュエチウ、63)が、女性店員の顔を平手打ちしているように見える。同紙の報道によれば、殴られた女性店員は、相雪秋が、店の商品を着たまま店を出ようとしていたと誤解したという。

店舗のマネージャーがその場をとりなそうとしたが、相雪秋は怒りをあらわにして店員を攻撃した。平手打ちされた店員の女性は、「顔が腫れ、目が充血した」状態になっている。

ソウルのベルギー大使館はフェイスブックで謝罪を公開。相雪秋は、暴行事件後に脳卒中の症状が出て入院したと述べていた。

「外交特権で逃げる」の報道でますます熱く

当初、相雪秋は「外交特権を主張」して刑事責任を逃れるつもりだとBBCが報道したため、韓国ではさらに騒ぎが大きくなった。だがベルギー大使館は「(相雪秋の)外交特権は......警察の要請により、放棄された」として、相雪秋が犯罪捜査に全面的に応じるとしている。

フェイスブックで公開された謝罪には、「駐韓ベルギー大使は、妻が関わった4月9日の事件を心から悔い、妻にかわって謝罪したいと考えている」と書かれている。「いかなる状況であれ、彼女の振る舞いは容認されるものではない。妻が入院した日に、大使は捜査が継続中であることを警察から知らされた」

「体調がじゅうぶんに回復したら、妻本人が警察へ行ってその調査に協力し、さらに、被害にあった店員に直接謝罪すると(レスクイエは)明言している」と投稿は続く。

大使館の最近のリリースでは、大使夫人が「店舗における自らの許されざる行動について、店員2名と私的に会って謝罪した」とも述べられている。レスクイエの後任者や、任期が終わる時期については明示されていなかった。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イラン攻撃計画を非公式に承認 最終命令

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、FRB議長発

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FOMC受け 中東情勢に注

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 7
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 8
    電光石火でイラン上空の制空権を奪取! 装備と戦略…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中