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中国

G7「対中包囲網」で賛否両論、一時ネットを遮断

2021年6月16日(水)15時17分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

●「デイリー・ビースト」はまた、フランスのマクロン大統領がG7開幕前に「ヨーロッパはバイデンに追随するつもりはない」とさえ警告し、「中国を西側諸国の新しい敵とみなすことはしない」と断言したと報道している。マクロンは「中国との関係構築において、ヨーロッパは独立性を持っていて、中国に隷属することもなければアメリカと盟友国として同盟を結ぶつもりもない」と主張しているという。

●ホワイトハウスはバイデンを立てるために、G7首脳は一致して対中政策に積極的な態度を示したとうそぶいているが、それは虚偽だ。だから実際の行動に移すことは困難である。

G7首脳会談におけるコミュニケの中国関連部分

「G7カービスベイ首脳コミュニケ」の全文は外務省のHPに掲載されているので、興味のある方は、そちらをご参照頂きたい。本稿では全般的なことには触れずに、中国問題、中でもウイグル・香港・台湾に関する項目を拾い上げてみたい。

コミュニケ49:我々は、大国や主要エコノミーが担うルールに基づく国際システム及び国際法を堅持するという特別の責任を認識する。(中略)我々は中国に対し、特に新疆との関係における人権及び基本的自由の尊重、また、英中共同声明及び香港基本法に明記された香港における人権、自由及び高度の自治の尊重を求めること等により、我々の価値を促進する。

コミュニケ60:我々は、包摂的で法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋を維持することの重要性を改めて表明する。我々は、台湾海峡の平和及び安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的な解決を促す。我々は、東シナ海及び南シナ海の状況を引き続き深刻に懸念しており、現状を変更し、緊張を高めるいかなる一方的な試みにも強く反対する。

たしかに「新疆」や「香港」あるいは「台湾」という言葉が出てきてはいるが、とても日本のメディアで大きく取り上げているような強硬な表現ではなく、至って穏便で「妥協の産物」という印象を与える。

中国「環球時報」社論――「その手は喰わない!」

「環球時報」電子版「環球網」は、6月14日03:15の社論「G7コミュニケは盛り上がっているが、その手は喰わない!」で、以下のように述べている。

●G7コミュニケでは中国を名指しで非難し、新疆や香港あるいは台湾問題に言及し、東シナ海や南シナ海における「一方的な現状変更」に反対するとしている。

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