最新記事

共和党

「マスクの強要はホロコースト同然」?──米極右議員の強烈論法

Marjorie Taylor Greene Doubles Down, Says 'Any Rational Jewish Person' Would Oppose Masks

2021年5月24日(月)16時10分
ハレダ・ラーマン
共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員

2020年に連邦下院に初当選する前から極右ぶりを発揮してきたグリーン。トランプ支持者に人気がある Kevin Lamarque-REUTERS

<議員がワクチン接種を終えるまで議場でのマスク継続を求めたペロシ下院議長のやり方は、ナチスがユダヤ人にしたことと同じ? こんなトンデモ発言も、今の共和党指導部には罰せられない?>

トランプ支持者に人気の極右政治家マージョリー・テイラー・グリーン米下院議員(ジョージア州選出)は、下院議場内におけるマスク着用命令を、ナチスドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)になぞらえる発言を繰り返した。

疾病予防管理センター(CDC)は5月13日にワクチン接種者のマスク着用義務を原則解除し、バイデン政権もホワイトハウスにおけるマスク着用の指針を緩和した。だが、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は議員全員がワクチン接種を受けるまでマスク着用の義務を継続すると発表。グリーンはそんなペロシを「精神に異常がある」と決めつけた。

5月20日に保守系ニュースメディア「リアル・アメリカズ・ボイス」のインタビュー番組「ウォータークーラー」に出演したグリーンは、ペロシがやっていることは、ホロコーストの時代にナチスがやったことと同じだと言った。


「ユダヤ人は黄色いダビデの星のマークを身に着けるように命じられ、法的権利のない社会的劣等者として扱われ、最後には電車に詰め込まれてガス室に連れて行かれた。ナンシー・ペロシが言っているのも同じ類の虐待だ」と、グリーンは語った。

私はユダヤ人の味方

ユダヤ人団体や他の議員はこの発言を非難したが、グリーンは21日の夜、自分はユダヤ人の味方だと、記者に語った。そして「理性あるユダヤ人」なら誰でも、「高圧的な」マスク着用命令に反対するだろうと付け加えた。

やはりトランプ支持者として有名なマット・ゲイツ下院議員(共和党、性的人身売買の容疑で捜査を受けている)と共にアリゾナ州メサで開催された共和党の集会に出席した後、グリーンは地元ローカル局12ニュースのビアンカ・ブオノ記者にこう語った。「『マスクは必要ない』と主張したからといって、社会的劣等者のように扱われるべきでない」

「私は何も間違ったことは言っていない。そして、理性あるユダヤ人はナチスドイツで起こったことが気に入らなかったと思うし、理性あるユダヤ人は、高圧的なマスク着用命令も高圧的なワクチン政策も気に入らないはずだ」と、グリーンは付け加えた。

グリーンのこうした発言に人々が不快感を抱く理由をわかっているかとブオノが質問したところ、グリーンはこう答えた。「マスクの着用やワクチン接種を強要されること、予防接種を受けたかどうかを明らかにしなければならないことを、人々がどのように感じているか、あなたこそわかっている?」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中