最新記事

韓国

コロナ禍で韓国の消費者も我慢が限界、「反日疲れ」が広がった

2021年5月21日(金)14時50分
佐々木和義

日本ビールの消費量が激減したが、韓国ビール市場で輸入ビールが占める割合は15%程である。日本ブランドを日常的に愛用する人より、不買運動に参加しないと表明した人の方が多かった。

日本製品不買運動が拡大したとき、韓国のデパートやスーパーは、日本製品の取り扱いを中断、あるいは、目につきにくい隅の方に移動した。

コロナ禍も加わり、我慢が限界の消費者に「反日疲れ」が広がった

日本製品は韓国人の生活に潤いをもたらすものが多い。多くの韓国人が日本製品を我慢する一方、日本ブランドを求める人たちは、通販や出前を利用するなど人目を避けて購入したが、最近、消費者の目につきやすい位置に並べる店が増えている。

3-APC_0156.jpg

日本製品を購入する人も増えてきた 南大門市場の輸入雑貨店 撮影:佐々木和義

声を潜めてきた日本好きや日本製品を好む人々が自由な言動をできる状況が戻ってきたのだ。また、「日本に行かない、日本製品を買わない、使わない」我慢にコロナ禍が加わって、我慢が限界に近づいた消費者の「反日疲れ」が広がったのだ。

日頃から反日を掲げる韓国人は決して多いとはいえない。独立運動記念日の3月1日や8月15日の光復節など、年に数回、反日や抗日に同調する程度である。時々、反日行動に参加するだけで、普段は反日や親日とは関係ない生活を送っていたが、不買運動が始まって以降、反日が常態化したその「疲れ」である。

今年4月の市長補選で、反日を掲げて市長選に出馬した候補をはじめ、与党幹部の多くがレクサスに乗っていることが判明した。また、不買運動を扇動した議員や反日団体が日常的に日本料理店を利用していたことが明らかになり、「昼は反日、夜はアサヒビール」と揶揄する声も出た。

今年4月21日、ソウル中央地裁が元慰安婦と遺族20人が日本政府に損害賠償を求め訴訟で、原告の訴えを却下する判断を下し、原告代表の李容洙(イ・ヨンス)さんら12人が控訴をすると表明したが、元慰安婦の吉元玉(キル・ウォノク)さんら8人が控訴しないことが明らかになった。反日団体が主導する訴訟に参加したくないのが趣旨という。

韓国社会の「反日疲れ」は、コロナ禍への「疲れ」も加わり、日本製品不買運動を続けると公言する一方、日本ブランドを購入するという行動となって現れているようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

バングラ総選挙、来年2月に前倒しの可能性 ユヌス首

ビジネス

ユーロ高大きく懸念せず、インフレ下振れリスク限定的

ワールド

G7、ロシアに圧力強化必要 中東衝突は交渉で解決を

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中