最新記事

アジア

進む自衛隊とミャンマー国軍の将官級交流 クーデター首謀者も3度来日、安倍首相と会談

2021年5月4日(火)10時25分
水島了(日刊ベリタ記者)

2014年12月、第1回日本ミャンマー将官級交流が開催され、10人のミャンマー人将校(中将1名・少将4名・准将2名・大佐3名)が来日した。以後、将官級交流は2019年まで毎年、合計6回開催されている。2020年には開催されていないが、これは新型コロナウイルスの影響によるものと思われる。

2014年12月 第1回将官級交流 10名来日
2015年8月 第2回将官級交流 9名来日
2016年8月 第3回将官級交流 10名来日
2017年8月 第4回将官級交流 10名来日
2018年8月 第5回将官級交流 10名来日
2019年8月 第6回将官級交流 10名来日
2020年 未実施

将官級交流の目的は何か。日本財団のブログには以下のように書かれている。

「少数民族問題などを抱えるミャンマー国軍の上層部に先進民主主義国家の"軍"の在り方などを見てもらうのが狙いで、当面5年間実施の予定。自衛隊との交流のほか、ミャンマー側からは災害復旧や海洋安全保障分野の研修希望も寄せられている」

実際の将官級交流の内容は、日本財団のYouTubeを見て頂くのが手っ取り早いだろう。手短に言うと、日本各地の自衛隊基地、静岡県浜松市にある「ビルマゆかりの碑」、防衛大学校などを約2週間で見て回るプログラムである。ここで、「ビルマゆかりの碑」について説明しておきたい。太平洋戦争中、ビルマ独立義勇軍の創設に日本軍「南機関」の鈴木敬司大佐が関わったことはよく知られている。ビルマゆかりの碑は、鈴木大佐の地元の浜松市に旧日本軍有志によって1974年に建立された記念碑である。ミャンマー国軍メンバーにとっては来日時の必見スポットであり、ミンアウンライン国軍司令官も2014年9月に訪問している。

将官級交流のツアーは日本財団がアレンジを行い、行く先々で防衛省関係者が丁寧に説明を行った。そして、夜の懇親会は、日本ミャンマー協会の渡邊秀央会長の出番だ。もう一組の写真は、2017年に来日したミャンマー軍将官を、東京都内のホテルで開催された歓迎レセプションで激励する渡邉会長である。氏は「ミャンマーの民主化は革命ではなく、軍が自らの手で実現した。この点は正しく評価されなくてはならない」と述べた。(日本ミャンマー協会ホームページ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、FOMC受け

ビジネス

ドル一時153.00円まで4円超下落、現在154円

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中