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ミャンマー

クーデター直前にスーチー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?

2021年4月16日(金)19時30分
永井浩(日刊ベリタ)
ティラワ工業団地の建設現場

「日本とミャンマーの協力の象徴」として巨額ODAが供与されたティラワ工業団地の建設現場(2015年5月8日) SOE ZEYA TUN-REUTERS

<日本政府はミャンマーに関して「国軍とスーチー氏の両方にパイプを持つ強みを生かす」と言うが、それはビジネスになるならどちらの政権でも構わないという意味だった>

小雨に煙る東京・千代田区の「日本ミャンマー協会」前で14日、「軍事的企業との連携を直ちにやめろ」と叫ぶミャンマー人らのデモがあった。協会の渡邊秀央会長は、日本のODA(政府開発援助)ビジネスの黒幕とみられているからである。渡邊氏の大物ぶりは、2月1日のクーデター直前にアウンサンスーチー国家顧問とミンアウンフライン国軍総司令官と相次いで会っていることでも示されている。日本ではほとんど知られていない一民間人が政府と国軍のトップ、それもクーデターの首謀者とそれによって政権の座を追われた民主化指導者の双方とこの時期に会見したのはなぜなのか、またその狙いは何だったのだろうか。

クーデターの噂が飛び交うなかで

日本ミャンマー協会とはどういう団体で、ODAとどう関係しているかはあとで触れるとして、まず渡邊氏のミャンマーでのうごきを伝える報道に目を通しておこう。

国営英字紙グローバル・ニューライト・オブ・ミャンマーは1月19日の1面に、スーチー氏と渡辺氏が前日、首都ネピドーの外務省で会談した記事を2人がならぶ写真つきで報じた。会談では、政権の第2期におけるミャンマーへの日本の投資拡大、教育と健康分野をふくむ社会・経済的発展への継続的支援、経済と投資分野での相互互恵的協力の促進、若い世代に重きをおいた両国民間の接触の強化に関して、率直で誠実な意見がかわされた。

2日後の21日の同紙は3面で、渡邊氏がスーチー氏との会談の翌日19日にネピドーで、ミンアウンフライン総司令官と会談した記事を写真つきで載せた。会談では日本ミャンマー協会による両国間の友好のきずな活動と両国軍人の協力関係の促進について話し合われた。

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1月19日のグローバル・ニューライト・オブ・ミャンマー紙4面

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1月21日のグローバル・ニューライト・オブ・ミャンマー紙3面

一連のトップ会談は、日本のメディアでは報じられなかったが、ミャンマーでは注目された。それは、日本の官民挙げた同国への経済開発支援の目玉商品として巨額のODAが供与された、最大都市ヤンゴン郊外のティラワ工業団地建設に、渡邊氏が大きな役割を果たしている事実が知られているからである。

渡邊氏はミンアウンフライン総司令官とは何度か会っている旧知の仲だが、スーチー氏とは今回初めてだった。しかも彼女はこれまで同氏と積極的に接触しようとはせず、渡邊氏もどちらかと言えばスーチー氏に好感を抱いていないとみられていたのに、初の会談はスーチー氏からの招請でおこなわれた。これまでの両者のうごきを知っているミャンマー人らによれば、スーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が2016年からの第1次政権の運営にあるていどの自信を深め、今年からの第2次政権では日本のODAに大きな影響力をもつ渡辺氏の存在を無視できなくなったのではないかと見ている。

この会談が注目されたもうひとつの理由は、それから間もなくして国内では国軍がクーデターを起こすのではないかという噂が飛び交うようになったからである。前年11月の総選挙でNLDが圧勝し、国軍系の連邦団結発展党(USDP)が惨敗したことに国軍は不満をつのらせ、渡邊氏のスーチー氏と国軍トップとの会談後1週間もたたない1月26日の記者会見で、投票に不正があったと主張、クーデターによる政権奪取の可能性を否定しなかった。

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