最新記事

感染症対策

うちわ会食より安全! 飲食時のコロナ感染対策「鼻マスク」ってどう?

2021年4月19日(月)19時30分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

普通のマスクをズラして使うよりは感染リスクが低いかも。Carlos Jasso - REUTERS

<うちわやマウスガードよりも感染効果が高いマスクが開発されたが、専門家や一般からも反応は今ひとつ>

日本では新型コロナウイルスの感染予防として、口の部分だけ開いたり、顎の部分にゆるみをもたせたり、手で持ったりする食事用マスクが発表され注目を集めている。感染が拡大し始めたとき、フェイスマスク着用に強い抵抗があったヨーロッパ人が見たら「さすがはマスク好きな日本人だ」とか「食事で、そこまで気を遣うのか」と、きっと驚くだろう。

一方、メキシコでは、食事用のマスクとして鼻のみを覆う「鼻マスク」が考案され、広く販売する計画が進んでいる。

メキシコの研究者たちが考案 歯科治療でも使える

鼻マスクは、メキシコ国立工科大学医学部の免疫学者スタボ・アコスタ・アルタミラーノ氏らが作った。新型コロナ感染を抑えるため、5ミクロンより小さいサイズのエアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)を考慮し、厳格な品質基準に従ってさまざまなものを試し最適なマスクの素材を発見したという。

このマスクを使えば、レストランはもとより、長距離フライトや歯科医院など人との間で十分な距離を維持することが難しい場合に、よりしっかりと新型コロナを予防できるようになると開発者らは主張している。現在、大量生産を請け負う企業と話し合いを進めており、近いうちに発売を予定している。

何もしないよりはいい

新型コロナウイルスは目・鼻・口から感染するが、米ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの感染症専門家アメシュ・アダリヤ氏は、感染した場合、鼻からどの程度ウイルスが進入するかを誰も数値化していないとし、「鼻だけを覆うマスクは十中八九、強力な保護にはならないだろう」と指摘する。ただし「何もしないよりは多分よいだろう」と、健康情報サイトのベリーウェル・ヘルスにコメントしている。

米ノースイースト・オハイオ医科大学のリチャード・ワトキンス氏も、「効果についてさらに研究が必要だが、おそらく害を及ぼすことはなく、多少役立つかもしれない」と同サイトにコメントしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 5
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中