最新記事

スエズ運河

スエズ運河で日本の巨大コンテナ船座礁、世界の貨物輸送に混乱も【ライブマップリンク付き】

Suez Canal Map Shows How Stuck Container Ship Has Blocked Sea Traffic

2021年3月25日(木)15時02分
スー・キム
スエズ運河で座礁した巨大コンテナ船、エバーギブン

座礁したエバーギブンは全長約400メートルの世界最大級のコンテナ船 SUEZ CANAL AUTHORITY/Handout via REUTERS

<世界の海上貿易の10%が通過する交通路がふさがれたことで数多くの船舶が足止めされ「渋滞」が発生>

地中海と紅海を結ぶエジプトのスエズ運河で、3月23日に巨大コンテナ船が座礁した。コンテナ船は運河を斜めにふさいでおり、今も15隻の船舶が通航できずに足止めされている。

船舶位置情報サイトの「マリントラフィック」の船舶「LIve Map」によると、同運河の河口部の状況がリアルタイムで示されている。それによれば現在も複数の船舶が運河を通航できずにおり、貨物の輸送に遅れが生じることが予想される。

問題のコンテナ船は、世界最大級で総重量20万トンの「エバーギブン」。日本の正栄汽船が所有し、台湾の長栄海運が運航していた。オランダのロッテルダムに向かう途中、23日の現地時間午前7時40分頃にスエズ運河で座礁した。ドバイを拠点とする海運事業者のGACによれば、視界不良に陥ったことが原因のようだ。

GACの広報担当者は本誌に対して、スエズ運河庁(SCA)が支援にあたっているが、これまでのところ「船を再浮上させるための離礁作業に進展はなく、通航の再開の見通しは立っていない」と説明し、「問題のコンテナ船が別の場所に曳航され次第、通航が再開されるだろう」と述べた。

24日時点で15隻の船舶が一時停泊して通航再開を待っているが、GACはウェブサイトで、「運河の通航をいつ再開できるかは、現時点でははっきり分かっていない」と説明。さらに「タグボートを使ってコンテナ船を離礁させるための作業が進められているが、強風により作業が難航している。これまでのところ進展はない」としている。

座礁の原因は「現在調査中」

エバーギブンの乗組員は全員無事と報じられており、怪我人や海洋汚染、貨物損傷の報告もない。エバーギブンの乗組員と技術面の管理を行っているベルンハルト・シュルテ・シップマネジメント(BSM)の広報担当者は声明で、「これまでの調査によれば、座礁の原因は機械やエンジンの故障ではない」と説明し、「問題の船舶を安全に離礁させ、スエズ運河の通航を安全に再開させることが当社にとって最優先すべき問題だ。スエズ運河庁をはじめ、離礁作業を続けている全ての関係者に感謝している。BSMは引き続き、彼らと緊密に協力していく」と表明した。

さらに声明は「離礁作業が完了したら、エバーギブンについて徹底した検査を行う。BSMは今回の事故に関する報告書の作成において、関係当局に全面的に協力する構えだ」と説明し、「具体的な進展があり次第、さらなる情報提供を行っていく」と述べた。

BSMはロイターに対して、「現在、全ての関係者が座礁の原因について調査を行っており、現時点で特定の原因について推測することは間違いだ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中