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ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る

2021年3月18日(木)17時55分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

■無形資産
株式投資において株価収益率(P/E)や株価純資産倍率(P/B)から本源的な価値を算出するやり方では、しばしばビジネスが持つ「無形資産」を測り損なってしまうことがある。その結果、思わぬ株価急落の憂き目に直面したり無形資産の恩恵を取り逃したりしてしまうケースがある。

そしてビットコインには、数々の「無形資産」があると考えることができる。

①セキュリティ
セキュリティとは、普段はあまり有り難みがわからない無形資産だ。サイバー攻撃を受けて顧客資産や個人情報を流出させたときにその重大さがわかる。

2017年消費者信用情報会社エクィファクスはハッキング攻撃を受けて1億4700万人分の個人情報を流出させた。その結果、株価は1週間で35%近く急落し、時価総額50億ドルが吹き飛んだ。また昨年11月に日本のカプコンがサイバー攻撃を受けて顧客情報など最大35万件を流出させた可能性があると発表した。発表後の1週間ほどでカプコンの株価は、16%ほど下落した。

ビットコインのセキュリティは、暗号化技術と増え続けるネットワークへの参加者に支えられており、誕生してから12年間、一度もセキュリティに関する事故を起こしていない(よく混同されるのだが、ハッキングによる巨額仮想通貨流出はビットコインのネットワークの問題ではなく、取引所の管理体制の問題である)。

ビットコインなど仮想通貨は、理論上、基盤となるブロックチェーンに対する「51%攻撃」に晒される可能性が存在する。ネットワークに参加するコンピューターの51%分が何者かにコントロールされてしまえば、ブロックチェーン上の取引記録を書き換えることができる。

しかし、2020年9月時点(ハッシュレートが127E/Hs)で、ビットコインに51%攻撃を仕掛けるためには29億ドル以上相当のハードウェアが必要になる。そして、電気代が1キロワットあたり5セントとした場合、攻撃者は1日に500万ドルを支払い続けなければならない。こうまでして51%攻撃を仕掛ける経済的なインセンティブが誰にもないことは明白だろう。

②不正・改ざん耐性
世の中には、偽物の金や宝石、プラチナなど多くの偽造品が出回っている。1990年代に米国とカナダの証券市場を大混乱に陥れたBre-X社による鉱山詐欺事件が有名だ。カナダのBre-X社が所有する鉱山から実際に出てきた金が偽物と判明したため、最大で60億ドルあった同社の時価総額は一気に崩れた。

ビットコインの取引記録は改ざん不可能。現在の取引も過去の取引もネットワークの参加者が確認(verify)するように動機づけられており、不正・改ざん耐性の面からビットコインは資産として差別化ができている。

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