最新記事

スポーツ

ラピノー、吠える 全米25州でトランスジェンダーの子供のスポーツ試合出場が禁止される?

Megan Rapinoe Decries Legislation Banning Transgender Kids From Sports

2021年3月29日(月)17時30分
ナタリー・コラロッシ
ホワイトハウスで行われた「平等賃金の日」のイベントに出席した全米女子サッカーチームのラピノー選手

2月24日、ホワイトハウスで行われた「平等賃金の日」のイベントに出席したラピノー Kevin Lamarque-REUTERS

<米女子サッカーのスター選手ラピノー、スポーツ界に性同一障害の子供の受け入れを訴え>

アメリカでは最近、トランスジェンダー(性同一性障害)の子供がスポーツ試合に参加することを法律で禁じる動きが目立っている。そんな中、女子サッカーのスター選手ミーガン・ラピノーは、こうした動きを非難する文章を新聞に寄稿、「差別はすべての人を傷つける」と訴えた。

寄稿が掲載されたのは28日付のワシントン・ポストで、ラピノーはトランスジェンダーの選手を差別する法律は「LBGTQ(性的少数者)への激しい政治的攻撃」の一環だと主張した。ラピノーは同性愛者で、LBGTQコミュニティの一員というとしての活動も多い。

「スポーツを楽しみ、自信や自尊心、リーダーとしてのスキルを身につけ、チームの一員であるとはどういうことかを学ぶチャンスを与えられる権利はトランスジェンダーの子供たちにも同様にある。トランスジェンダーの女の子に女子スポーツを禁じたり、トランスジェンダーの男の子に男子スポーツを禁じたりすれば、子供たちはそうした重要な経験をする機会を逃してしまう。そして私たち(大人)は、子供たちを大事に思っていると胸を張る権利を失う」とラピノーは書いた。

「差別はあらゆる人を傷つける。スポーツを愛するすべての人が、私と同じように人生をいい方向に変えるチャンスを手にできるなら、私たちはチームとしても国としても強くなれる」

25の州で競技参加を禁止する法案を提出

ラピノーはまた、女性スポーツ財団や全米女性法律センターといった女性団体や、ビリー・ジーン・キングといった女子スポーツ界の大物たちからも、トランスジェンダーの女子選手が他の選手たちとともに競技に参加することに賛成する声が多く上がっていると指摘した。

「すべてのトランスジェンダーの子供たちに、夢に生きていいということ、自分に正直に生きていいということを知って欲しい。そして子供たちが夢をかなえるには、プレーすることが認められる必要がある」

ラピノーはアメリカの女子プロサッカーリーグでプレーしている他、アメリカ代表としてはオリンピックで金メダルを獲得、サッカー女子ワールドカップ(W杯)では2度の優勝に輝いている。また、スポーツ界における男女の賃金格差の解消を訴える活動でも知られる。

アメリカではトランスジェンダーの生徒・学生のスポーツ競技への参加を禁じる法律への支持が広がっている。米自由人権協会(ACLU)によれば、トランスジェンダーの女子選手が女子の競技に参加することを禁じる法案が議会に提出された州は25州に及ぶ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾囲み実弾射撃伴う大規模演習演習 港湾な

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中