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アメリカを統合する大前提が「今回壊れた」可能性は何パーセントか

2021年1月20日(水)13時50分
田所昌幸+小濵祥子+待鳥聡史(構成:ニューズウィーク日本版ウェブ編集部)

カギは2026年、新しい「アメリカの世紀」へ?

■待鳥: 私も基本的には田所先生に同意です。アメリカはもう駄目だとか衰退論は繰り返されてきました。ですから今回もやはりいつもどおり変わらないと思う気持ちが80%ぐらいあります。しかし、最初の話に戻りますが、どんなに異なっていても統合する大前提がアメリカにはありましたが、これがもしかしたら今回ばかりは壊れているかもしれないという思いが実は20%くらいあります。田所先生はもしかしたら10%くらいかもしれませんが(笑)、私は20%ぐらいは悲観的に考えており、今回は実は危ないかもしれないと思うことがあります。

■田所: この点について、小濵先生はいかがでしょうか?

■小濵: 私は75%は大丈夫ではないかと思いつつ、25%はもしかしたら? と思っています。

■田所: より若い世代になるとやはりより悲観的な評価になりますね(笑)。

■小濵: 私が今後注目したいと思っているのは、アメリカ独立250周年である、2026年です。アメリカは国民意識の淵源を独立や建国、憲法などに求めるしかないので、2026年にはさまざまな記念イベントで再度自らのアイデンティティを確認する作業が出てくるはずです。そこに向けて新しく始まるバイデン政権が4年間でどういうことを積み重ねていけるかということで、そのパーセンテージが変わるのではないかと思っています。

■田所: なるほど。2026年がカギということですね。では、最後に「アステイオン」93号で特に気になった論考についてうかがえればと思います。

■小濵: 考えさせられたのは、マーク・リラ氏の論考「液状化社会」です。経済的にも社会的にも液状化した世界の4つのイデオロギーの中で既存の政党の行き詰まり感について、リラ氏ご自身がそれをどう考えたらいいのかというのを模索されてることが非常によくわかりました。特にリラ氏が『リベラル再生宣言』(早川書房、2018年)を書かれた後にリベラル再生を諦めたのか、共和党が新しいイデオロギーを提供できるかが今後の要だと指摘されていることは大変興味深く思いました。今のリベラル側の苦悩について改めて考えさせられました。

■田所: では、特集責任者の待鳥先生はいかがでしょうか?

■待鳥: 依頼した側としては「どれもすばらしくて評価できません」としか言えないのですが(笑)、個人としては石川敬史氏の「特殊にして普遍的な幻想の超大国」が面白かったです。やはりアメリカ建国期はものすごくダイナミックな時代で、山ほど研究が蓄積されている分野です。それでも研究し続け、しかも何か言えるようになるには非常に手間がかかります。それを日本人が地道に研究し続けるというのは、普通は考えられないことです。その研究を『アステイオン』でご紹介できたということは特集責任者冥利に尽きます。

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