最新記事

ソーシャルメディア

FBやツイッター がトランプ動画を削除しても、右派「検閲なし」SNSが大盛況

Trump Video Removed by Facebook Viewed Millions of Times on Parler, Rumble

2021年1月8日(金)16時54分
ジェイソン・マードック

検閲なき抜け穴サイト、パーラーのスクリーンショット。下が大手で削除されたメッセージ動画。上の最新の動画では、違法に米議会を襲撃した人々を非難し、スムーズな政権移行を実現するとしながら、「我々のジャーニーは始まったばかりだ」と言っている Screenshot/Parler

<「言論の自由を保障する」と謳う保守派ソーシャルメディアで数百万回も視聴され続けている>

2020年11月の米大統領選の選挙人投票集計が行われていた連邦議会で1月6日、ドナルド・トランプ大統領の支持者の一部が警備を破って米議会議事堂に乱入する騒ぎが発生した。この事態を受けてフェイスブック、ツイッターとYouTubeは、トランプが投稿したメッセージ動画を削除した。誤った情報を含み、さらなる暴力を煽るおそれがあると判断したためだ。

だがアメリカの保守派の間でツイッターやYouTubeに代わるソーシャルメディアとして人気が高まっている「パーマー」と「ランブル」は、トランプの動画を掲載し続けており、その視聴回数は数百万回にのぼっている。

暴徒化した支持者らが議事堂に乱入した後、トランプはメッセージ動画の中でこう語った。「我々は選挙結果を盗まれた。我々が大勝したことは誰もが知っている。だが、もう家に帰るべきだ」

この動画を、FOXニュースのトーク番組司会のショーン・ハニティや右派の政治評論家などが、カナダの動画共有サイト「ランブル」に投稿。これまでに42万回以上視聴されている。

CEOのジョン・メッツェが「ツイッターの言論の自由バージョン」と謳うパーラーにトランプ陣営が投稿した動画は、これまでに約470万回視聴されているようだ。

トランプ支持のコメントが殺到

パーラーのコメント欄には、トランプを支持するコメントが殺到している。ユーザーのEricjは「この選挙が不正なものだということは、みんなが知っている」と投稿。Debbielemasterは「すべてトランプ大統領を攻撃するために仕組まれたことだ!彼は歴史上、最高の大統領だ!」と書き込んだ。Juliemroccoは「彼ほど私たちのために一生懸命に戦ってくれた人はいない。感謝している」と投稿した。

オリジナルの動画は6日にトランプの公式YouTubeアカウントから削除されたが、今もこうしたSNSや一部報道機関を介して拡散されている。

YouTubeの広報担当は動画を削除した理由について、「2020年の米大統領選には大規模な不正があった、という主張が、YouTubeのコンテンツポリシーに違反」するためだと説明。ただし注釈と教育的価値を加えた場合には、動画のコピーを削除せずに残していいとも述べた。

これまでトランプの投稿の制限には消極的だったフェイスブックも、今回は問題のメッセージ動画と選挙不正を主張する別の投稿を削除したことを明らかにした。

同社の公正化担当副社長ガイ・ローゼンとグローバルポリシー管理責任者のモニカ・ビッカートは6日、連名でブログに投稿し、「これらの投稿は、いま展開されている暴力のリスクを小さくするどころか助長していると判断した」と説明。フェイスブックはその後、トランプのアカウントを24時間凍結すると表明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国中古住宅価格、4月は前月比0.7%下落 売り出

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ビジネス

米関税で見通し引き下げ、基調物価の2%到達も後ずれ

ワールド

パレスチナ支持の学生、米地裁判事が保釈命令 「赤狩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中