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アメリカの航空会社、「感情支援動物」の機内同伴、犬だけに制限へ

2020年12月10日(木)16時00分
松丸さとみ

2日に発表した文書の中で運輸省は、変更の理由の一つとして「普通ではない動物」が感情支援動物として申請されることにより混乱が生じており、正当な介助動物に対する一般客の信頼を損なったと説明している。これまで感情支援動物として機内で目撃された動物は、豚やカモ、七面鳥、カンガルーなどさまざまだ。

全米障害者権利ネットワークのカート・デッカー事務局長はNYTに対し、「障害者コミュニティの中には、七面鳥を介助動物だと考える人はいない」と述べ、この制度を乱用する人のせいで、障害者が不利な思いをさせられていると話した。

規則変更で移動が困難になる人も......

こうした背景もあり、運輸省の決定を肯定的に捉える声も多い。米航空会社の業界団体エアラインズ・フォー・アメリカのニコラス・E・カリオ会長は今回の変更について、「客室内にいる、訓練を受けていない動物から旅行者と乗務員を守ることになるし、訓練を受けた介助犬を連れて移動する障害者にとっては飛行機の利便性が高まる」と述べて評価した。

視覚障害のある人たちを支援する非営利組織マイ・ブラインド・スポットの創立者アルバート・リッジさんはUSAトゥデイに対し、「ペットを同伴できるという理由だけで、障害がないのに障害者の恩恵を手に入れたがる人もいる」と話し、運輸省の決定を歓迎した。

とはいえ、「介助動物」と認められるのは犬だけとなってしまうことで、今後は思うように飛行機で移動できなくなる人も出てくることになる。

ミシガン州在住のモナ・ラムーニさんはNYTに対し、「まったくの不公平だ」と話した。視覚障害のあるラムーニさんの場合、ミニチュアホース「カリ」が盲導犬の役目を果たしてくれている。体高約73センチ、体重約77キロで、バルクヘッドシート(前が座席ではなく壁になっている席)のスペースに収まるサイズだ。ミニチュアホースは、大抵の介助犬よりも訓練しやすく寿命も長いという。これまでカリを連れて頻繁に航空機を使って移動してきたが、新たな規則が施行されてしまったら「もう自分の馬を連れてどこにも行けなくなるの?」と不満を口にしている。

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