最新記事

日本社会

コロナ禍で加速する地方移住 東京が最大の人口流出地域に

2020年12月2日(水)16時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

昨年まで東京への人口集中の流れは止まらなかったが kokouu/iStock.

<昨年まで東京の流入人口は全国で最大だったが、今年は人口流出が最大となっている>

コロナ禍で国民の生活は甚大な影響を被っているが、生活不安のようなマイナスだけではなく、プラス方向の変化も見受けられる。対面での取引の見直し、テレワーク、そして地方移住などだ。

このうち地方移住では、東京の人口の出入りを見ると、今年7月以降、転入者より転出者が多くなっている。東京のような大都市は「転入>転出」すなわち転入超過の状態が常だが、変化の兆しが統計にも表れてきた。

総務省『住民基本台帳人口移動報告』によると、昨年10月の東京都の転入者は3万593人、転出者は2万7936人だったが、今年10月は順に2万8193人、3万908人と逆転している。昨年は2657人の転入超過だったが、今年はマイナス2715人と、ちょうど同じくらいの幅でひっくり返っている。

東京から転出した人は、どこかの県に居を移していることになる。これこそ地方移住だが、その実態を地図上で可視化すると<図1>のようになる。10月の転入超過数がプラスの県に色を付けた地図だ。

data201202-chart01.jpg

転入超過数がプラスの県は、昨年は11県だったが今年は24県に増えていて、地方にも点在するようになっている。関東を見ると、マイナスに変わった東京を、周囲の近郊県が取り囲む形になっている。遠い地方ではなく、週に何回かなら都心に通える近郊への移住が増えた、ということだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米関税引き上げ、中国が強い不満表明 「断固とした措

ビジネス

アリババ、1─3月期は売上高が予想上回る 利益は大

ビジネス

米USTR、対中関税引き上げ勧告 「不公正」慣行に

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中