最新記事

メディア

韓国メディアはリストラの時代? ニュース番組にAIアナ続々登場へ

2020年12月11日(金)20時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国の放送局MBNが11月から起用したAIアナ、キム・ジェハさん(左)。ニュース専門チャンネルYTNもAIアナ起用を発表、韓国はアナウンサー受難の時代に? MBN News / YouTube

<さまざまなサービスや電子機器にAIが使われている──。そんなニュースは日常的になったが、そのニュースもAIで作られる時代に>

「憧れの職業」の一つとして、常に上位に挙げられる「アナウンサー」。多くは放送局の職員でありながら、芸能人さながらメディアの表舞台に立つ花形職業である。しかし、そんな彼らも近い将来、AIに職を奪われてしまうかもしれない。

11月6日、韓国の総合編成チャンネルMBNの報道番組「MBN総合ニュース」で、韓国内初となるAIアナウンサー、キム・ジュハさんがTV画面に登場し注目を集めた。

AIキム・ジュハさんは、今年の9月からMBNオンラインに登場し、番組のユーチューブチャンネルなどで「キム・ジュナAIニュース」を配信していた。そして11月、満を持してテレビの本放送に出演する運びとなったのだ。

AI「キム・ジュハ」さんのモデルは、実在する女子アナウンサー「キム・ジュハ」さんだ。AI専門会社Money BrainがMBNとAIの共同開発をして誕生したという。

オリジナルのキム・ジュハアナウンサーの放送中の姿や動き、そして声をAIに覚えさせ、さらに5日間10時間ずつ計50時間、別撮りした映像を教え込ませた。初日の放送では、オリジナルとAIの2人のキム・ジュハさんが対談する「人間アンカー VS AIアンカー 勝者はどっち?」というコーナーも放送され話題となった。

今回開発されたAIアナウンサーは、1000文字の原稿のニュースを1分もあれば映像と音声を合体させて放送可能な状態にできるそうだ。さらに全身のショット、腰から上のショット、服装等17通りの姿からニュースに合ったイメージを選ぶことができるという。

他局も追随、局アナはリストラの時代?

韓国ではMBNに続き、ニュース専門チャンネルであるYTNも、イーストソフト人工知能研究所と共同で男性アナウンサーをモデルにしたAIアナウンサーを現在開発しており、来年にはお目見えする予定だという。韓国では今後、ますますAIアナウンサーが開発され登場していくことだろう。

このように続々とAIがニュースを読むようになってくると、人間のアナウンサーは減ってしまうのではないかと心配になるが、実はすでにその傾向はすでに始まっていた。

「2019年放送産業実態調査報告書」によると、2018年12月基準活動中のアナウンサーの数は694名(フリーアナ除外)であると記載されている。2014年には755名だったが、毎年減少傾向にあるようだ。

最近でいえば、韓国地上波放送局3社のうち、KBSは今年の新人アナウンサー採用はなく、昨年も全国(ローカル局含む)で3名のみ採用した。MBSとSBSに至っては、ここ2年間採用していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、12日夜につなぎ予算案署名の公算 政府

ワールド

イランの濃縮ウラン巡る査察、大幅遅れ IAEAが加

ワールド

世界原油需給、26年は小幅な供給過剰 OPECが見

ビジネス

ミランFRB理事、利下げ改めて主張 「インフレは低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中