最新記事

2020米大統領選

「私は黙っていられなかった!」 バイデンに勝利もたらした女性票

2020年11月10日(火)17時21分

ウイルスの影

米国では、女性が多くの面でコロナ禍の矢面に立たされた。米労働統計局によると、職を失った割合は女性が男性よりも著しく高く、子供の自宅学習の面倒を見たり世話をしたりに追われている。シンクタンクによると、一方で、就業を続けられる女性の多くは、医療現場や社会福祉を筆頭に、現場の最前線で働く人々だ。

ロイターの調査によると、投票で重視する要因に新型コロナを挙げた割合は有権者全体でも高かったが、女性は特に際だった。エジソンの出口調査によると、女性有権者の52%が、バイデン氏の方が新型コロナにうまく対処するだろうと答え、トランプ氏の44%を上回った。

歴史をつくる

ウィスコンシン州ミルウォーキーに住むデニス・キャラウェイさん(64)は新型コロナで幾人もの友人を亡くした後、コロナを常に懸念してきた。しかし彼女が投票した一番の動機は、ハリス上院議員を米国初の女性で、そして黒人系の副大統領にすることだった。

バイデン氏がハリス氏を副大統領候補に選ぶと発表した時、キャラウェイさんは泣いてしまったという。リビングに飾った高祖母(祖父母の祖母)の鋭いまなざしの肖像を見詰めながら、彼女は奴隷だった可能性が高いと話すキャラウェイさん。祖先のために、自身と娘たちのためにも、この歴史的な選挙に手を貸さなければと感じたという。

元PR会社の幹部で今は引退しているキャラウェイさんは、黒人女子学生の社交クラブ時代の友人らを通じてウィスコンシン州のバイデン氏陣営とつながり、他のボランティアとともに電話掛けなどの選挙活動に加わるようになった。

黒人女性は圧倒的に民主党に投票する割合が高く、これまでもトランプ氏の強い支持層だったことはない。しかしロイターの調査によると、今年はますますトランプ氏に批判的になった。エジソンのデータによると、黒人女性の91%がバイデン氏を支持し、この割合は黒人男性より11%ポイント高かった。

初めての投票

アリゾナ州ではヤズミン・サガスチュームさん(19)のような若い中南米系有権者がバイデン氏を支持した。彼女は投票日の前日、友達2人と一緒に都市部フェニックスの100軒以上の家に、投票指南のビラを投函して回った。彼女らは今回、初めて大統領選で投票できるようになった年齢層だ。

バイデン氏は全米的に若年層の支持率が圧倒的に高く、18―29歳の層では62%の票を獲得したとみられる。

フェニックス育ちの大学生のサガスチュームさんは、メキシコ出身の母親とグアテマラ出身の父親の間に生まれた5人きょうだいの末っ子。政治には高校時代から積極的に関わってきた。バイデン氏の熱心な支持者というわけではなく、民主党予備選では進歩主義のサンダース上院議員を支持したし、70代の白人男性政治家よりは31歳のニューヨーク州選出のオカシオコルテス下院議員の方にずっと親近感を感じる。

それでもここ数カ月間、若い中南米系有権者に投票を呼び掛けてきた。「私たちはただトランプを落としたいの。それだけが目的」

家族の分断

深い分断が進んだ米国では、選挙戦が進むにつれて個人的な人間関係にもほころびが生じた。

ロイター/イプソスの調査によると、有権者の5分の1が、選挙が原因で家族のだれかと話さなくなったか、友人を失ったと答えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中