最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選挙の勝者、コロナ対応や景気刺激策で難しい舵取りに

2020年11月5日(木)08時13分

3日投開票された米大統領選が大接戦となり、「ねじれ議会」となる公算が増す中、米金融関係者の間では、最終的な勝者が新型コロナウイルス対応や刺激策の実施で難しい舵取りを迫られる可能性があるとの懸念が広がっている。デラウェア州ウィルミントンで4日撮影(2020年 ロイター/BRIAN SNYDER)

3日投開票された米大統領選が大接戦となり、「ねじれ議会」となる公算が増す中、米金融関係者の間では、最終的な勝者が新型コロナウイルス対応や刺激策の実施で難しい舵取りを迫られる可能性があるとの懸念が広がっている。

大統領選の結果を左右する複数の激戦州では4日も集計が行われており、結果判明には数日を要する可能性がことから不透明感も当面続くとみられている。

米主要株価3指数はこの日、軒並み2ー4%強上昇。しかし、大統領選をこなした安心感による急反発ではないようだ。

JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は、選挙の最終結果が出るまで辛抱強くするよう訴えた。

ゴールドマン・サックス・サックスの元パートナー、マイク・ノボグラッツ氏はツイッターへの投稿で、バイデン氏の明確な勝利を見込んでいたとし、「自分は間違っていた。痛い目に遭った」とコメントした。

議会選では、民主党が下院の過半数議席を維持する見通しである一方、上院の過半数を奪取する公算は低いとみられており、民主党のバイデン候補が勝利すれば、法案や閣僚指名の承認手続きなどが難航することが予想される。

ある銀行のロビイストは、追加コロナ経済対策が「1月初旬もしくは2月に実現することは途方もない偉業となりつつある」とし、金融機関幹部や市場の注目点になるとの見方を示した。

大統領選前には民主党がホワイトハウスと議会を掌握する「ブルウェーブ」が起きることが見込まれ、金融業界では増税や規制強化への懸念が強まっていた。

KBWのリサーチディレクター、フレッド・キャノン氏は「エリザベス・ウォーレン氏が財務長官、バーニー・サンダース氏が労働長官に就く確率が低下している」としつつも、新型コロナ感染拡大阻止や、消費者・企業への支援策など、重要な法案通過への懸念は漂うと指摘した。

一方、2000年大統領選の投票結果を巡る訴訟でアル・ゴア元副大統領の代理人を務めたデービッド・ボイジー弁護士によると、現状を急激に変化させるような法案通過が困難になることから、金融関係者の間ではねじれ議会を望む向きもあるという。

(David Henry, Suzanne Barlyn記者)

ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税の即刻見直しかなわないなら、合意は困難=日米交

ワールド

トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措置示

ワールド

中国、ブラジル産鶏肉の輸入全面禁止 鳥インフル発生

ビジネス

マクロ系ヘッジファンドへの関心高まる、市場の変動に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中