最新記事

動画配信

ディズニー、ダンボやピーター・パンの人種差別表現を認める 問題を浮き上がらせるネット配信サービス

2020年10月30日(金)21時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ディズニーはネット配信サービスDisney+で名作アニメに差別的表現があることを告知することを決定した。Brendan McDermid / REUTERS

<映画やドラマが制作された国以外で配信される今、制作当初は想定していなかったことで批判されることが増えてきた>

9月9日、ネットフリックスで配信が開始されると、世界中から多くの批判の声が上がったフランス映画『キューティーズ!』。今年2月に開催されたサンダンス映画祭では、ワールド・シネマ・ドラマ部門で監督賞に輝き、満を持してのネットフリックスでの世界配信だった。

ところが、蓋を開けてみると小学生の女の子たちが性的なダンスを踊るシーンが多く、さらにネットフリックスが制作したプロモーション・ビジュアルも、元のポスターよりセクシーさを強調した部分が問題となり、世界中から抗議が殺到する事態となった。

さらに、ポーランド発ロマンス映画として6月に配信開始された『愛は、365の日々で』は、配信直後から「拉致監禁の美化」と世界から非難が集中した。

自身も強姦、そして監禁の被害者であるイギリス人歌手ダフィーは、ネットフリックスCEOであるリード・ヘイスティングスへ直接手紙を書き、これ以上性的搾取の美化をしないよう訴えて話題となった。

このように、ネットフリックスやアマゾンプラムビデオなどのOTT(動画配信サービス)を通じて世界中に作品が配信されることで、表現について新たに考えさせられる事例が急増している。

誰もが知る名作にも差別表現が

今月、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、自社のサブスクリプション動画配信サービスであるディズニープラスで、過去の名作アニメ6作品に有色人種に対する差別的表現があるとし、人種差別表現があることを告げるメッセージを表示することにした。

6作品とは、『ダンボ』(1941)『ピーター・パン』(1953)『わんわん物語』(1955)『スイスファミリーロビンソン』(1960)『ジャングル・ブック』(1967)『おしゃれキャット』(1970)で、いずれも1970年以前に制作されたアニメーションである。

いずれも、特定の人種の特徴をむやみに誇張し、ステレオタイプで差別的な表現をしている箇所がある。例えば、『おしゃれキャット』では、アジア人を彷彿とさせる猫が箸でピアノを弾いている。また、『ジャングル・ブック』のオラウータンのキャラクター、キング・ルーイはアフリカ系アメリカ人のアクセントで喋っていて、典型的な黒人ステレオタイプ表現である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港取引所、上期利益40%増で過去最高 取引や上場

ビジネス

首都圏マンション、7月発売戸数は34.1%増 平均

ワールド

NZ中銀、政策金利3年ぶり低水準に下げ 追加緩和も

ワールド

中国、大規模軍事パレードを来月実施 極超音速兵器な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 6
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中