最新記事

日本外交

菅首相、訪問先のインドネシアで500億円の円借款供与 ジョコ大統領と安保、医療でも協力を決めたが──

2020年10月20日(火)22時10分
大塚智彦(PanAsiaNews)

初の外遊先のひとつとしてインドネシアを訪問した菅義偉首相をジョコ・ウィドド大統領が出迎えた。metrotvnews / YouTube

<初の外遊先のひとつ、インドネシアで菅首相が得た成果の内実は>

首相就任後初の外遊としてベトナムに続いてインドネシアを訪問中の菅義偉首相は10月20日午後、首都ジャカルタ南郊のボゴールにある大統領宮殿でジョコ・ウィドド大統領との首脳会談、関係閣僚も加わった会談に相次いで臨んだ。

会談では、日本政府としてインドネシア側に500億円の円借款を供与することやコロナ対策、インフラ整備計画推進への協力、さらに安全保障問題や地域問題を協議するために新たに両国間で外務・防衛相レベルの「2+2(ツープラスツー)」会談を設けることなどで合意した。

会談後の共同記者会見で、ジョコ・ウィドド大統領は菅首相が就任後初の外遊先の一つにインドネシアを選んだことへ感謝を表明。「これはインドネシアだけでなく東南アジアにとって意味のあることだ」と歓迎した。そのうえで「不確実性の時代にあってインドネシアと日本との協力が一層重要となる」との認識を示した。

そしてインドネシアと日本は「戦略的パートナー」であることを強調して、日本企業の投資拡大を歓迎するとともに、輸入制限が残るインドネシアからの農産物、水産物、林業産品などの分野の日本への輸入制限の緩和を求めたことを明らかにした。

コロナで厳しい経済支援や災害対策に500億円を供与

これを受けて菅首相は「インドネシアとの関係は東南アジア諸国連合(ASEAN)、そしてインド太平洋地域での要である」として、11月に予定されるASEANの一連の会議で両国が協力することで一致したと述べた。

そしてコロナ禍によるインドネシア経済への深刻な影響や災害対策に対して日本政府として500億円の財政支援による円借款を供与することを表明。

医療面での現場設備の整備やインドネシア人看護師などビジネス関係者の訪日往来に関する現在の原則14日間の隔離などの制限緩和について今後外務当局者による協議をもつことでも合意したことを明らかにした。

ジョコ・ウィドド大統領が重視している国内インフラ整備に関しては、ジャカルタの都市高速鉄道(MRT)の延伸、ジャワ島北部をジャカルタからスラバヤまで走る鉄道網の高速化整備計画、港湾整備、離島開発などでの協力を着実に実施していく方針を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中マドリード協議2日目へ、TikTok巡り「合意

ビジネス

英米、原子力協力協定に署名へ トランプ氏訪英にあわ

ビジネス

中国、2025年の自動車販売目標3230万台 業界

ワールド

トランプ氏、首都ワシントンに国家非常事態宣言と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中