最新記事

感染第2波

欧州感染第2波深刻に 仏、全国的なロックダウン検討、独などコロナ制限近く導入か

2020年10月28日(水)10時02分

10月27日、欧州で新型コロナウイルス感染が急速に拡大し、各国政府は制限措置の導入に動いている。イタリアの複数都市では、レストランやバーの営業時間短縮などの新たな制限措置導入に反発した数百人の抗議活動が暴力に発展した。写真は10月26日、イタリアのトリノで発生した抗議活動(2020年 ロイター/Massimo Pinca)

欧州で新型コロナウイルス感染が急速に拡大する中、各国政府は制限措置の導入に動いている。

ロイターの試算によると、欧州の新型コロナ感染は少なくとも854万人、死者は25万1000人。26日に確認された新規感染者は約23万1000人と、これまでの最多を記録した。

世界の感染者数は4340万人以上、死者数は115万8056人となっている。感染者数、死者数とも米国が最多。

フランスのBFMテレビは27日、仏政府が29日深夜から1カ月間の全国的なロックダウン(都市封鎖)措置を検討していると報じた。28日にはマクロン首相のテレビ演説が予定されているが、こうした措置が発表されるかは明らかになっていない。

これに先立ち、ダルマナン内相はパンデミック(世界的大流行)に関する閣議を控え、新たな制限措置導入という「苦渋の決断」に向けた準備を進めるべきと呼びかけた。

ベルギーでは、20日に新規感染者数が過去最多1万8000人超に達し、感染第1波で記録した感染者数の約10倍増となった。政府高官によると、週末までに全土にロックダウン(都市封鎖)措置を再導入するかを決定するという。

ロシア政府は一部の公共の場でのマスク着用を義務化し、レストランやバーの夜間営業制限を検討するよう地方政府当局に求めた。同国の感染者数は累計155万人と、世界で4番目に多い。

チェコのバビシュ首相は、非常事態宣言を12月3日まで延長する措置を承認するよう議会に求める意向を示した。

ドイツのアルトマイヤー経済相は、今週末までに同国の1日当たりの感染者数が2万人に達する公算が大きいと警鐘を鳴らした。

同相は「国内で新規感染者が先週から70─75%増加している」とし、「われわれは急激な感染者の増加に対応している」と述べた。

ショルツ財務相は、感染拡大抑制に向けて「的を絞った、一時的かつ集中した」措置を、可能な限り全土に導入する必要があるとの認識を示した。

メルケル首相と16州の首相は28日、追加制限措置導入を巡り協議する。独紙ビルトによると、メルケル首相は、レストランやバーの営業停止や集会の制限などの「ロックダウン・ライト」の施行を計画しているという。

イタリアの複数都市では、レストランやバーの営業時間短縮などの新たな制限措置導入に反発した数百人の抗議活動が暴力に発展。ミラノではデモ隊と警察が衝突したほか、トリノでは高級品店のガラス窓が割られる事態となった。

イタリアで過去24時間に確認された新規感染者数は2万1994人と過去最多を更新。死者数は221人増加した。1日当たりの死者数が200人を超えるのは5月中旬以降で初めて。累計では感染者数が56万4778人、死者数が3万7700人となった。

英国では27日に死者数が367人増加。1日当たりの死者数では5月27日以降で最多となった。

また、英研究者の調査で、同国の人口に占めるコロナウイルス抗体保有者の比率が夏場に低下したことが分かった。感染後の抵抗力が長続きせず、社会全体の免疫が弱まっている可能性を示唆する結果となった。

ギリシャで27日に確認された新規感染者数は1259人と過去最多を更新。また、ケラメオス教育相がコロナ検査で陽性反応が出たと発表した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、イスラエルAI新興買収へ協議 最大3

ビジネス

ワーナー、パラマウントの最新買収案拒否する公算 来

ワールド

UAE、イエメンから部隊撤収へ 分離派巡りサウジと

ビジネス

養命酒、非公開化巡る米KKRへの優先交渉権失効 筆
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中