最新記事

2020米大統領選

アメリカ大統領選討論会、トランプとバイデンが対決 コロナ対応や最高裁判事人事めぐり激論

2020年9月30日(水)18時18分

郵便投票

トランプ氏は郵便投票が不正につながるとの持論を改めて展開した。専門家は郵便投票による不正は極めてまれと指摘している。また最高裁が大統領選の結果を判断することになるかもしれないとの見解を示した。

「何万もの票が不正に操作されているのを見たら、受け入れることはできない」と語った。

トランプ氏は選挙に敗れた場合に平和的に政権を移譲することを約束していない。

バイデン氏は選挙結果の正当性が確認されるまで勝利宣言しないと言明した。自身が勝利したらトランプ氏を確実に排除すると約束した。

「われわれが票を集めれば、それで全てが終わる。彼(トランプ氏は)出ていく」と述べた。

トランプ氏が郵便投票に反対するのは票を数えることを「恐れている」ためと指摘し「裁判所が決着をつけなければならない事態を懸念している」と語った。

納税問題

バイデン氏は討論会に先立ち、自身の2019年納税申告書を公表。同氏陣営はトランプ氏も同じように公表するよう求めた。

米紙ニューヨーク・タイムズは27日、トランプ大統領が過去15年のうち10年間も所得税を納めておらず、2016、17年の連邦税納付額はそれぞれ、わずか750ドルだったと報じた。税金還付書類によると、数億ドル規模の課税所得を得ていたものの、事業損失との損益通算を行ったためという。

バイデン氏は討論会で、トランプ氏は「学校教師よりも納税額を少なくする」ために税法をずる賢く利用しようとしていた、と指摘した。

トランプ氏は数百万ドルの税を払っていると主張したものの、監査が終わるまで納税申告書を公表することはできないと述べた。また、実業家として納税額を少なくするために税法を活用したと述べた。

最高裁判事指名

トランプ氏は冒頭、最高裁判事指名を急いだ自身の決定について、前回選挙で勝利した「結果」であり、正当な権利があると主張した。

「ごく単純に言えば、われわれは選挙に勝利した。選挙には結果が伴う。われわれ(共和党)が上院とホワイトハウスを握っており、全ての人に尊敬されている素晴らしい候補がいる」と強調した。トランプ氏は今月死去したギンズバーグ最高裁判事の後任に、保守派のバレット連邦高裁判事を指名している。

これに対しバイデン氏は、ギンズバーグ判事の後任指名は11月3日の大統領選の勝者が明らかになってから行うべきだと訴えた。

バイデン氏は「選挙結果を待つべきだ」と述べ、最高裁の保守化が進めば医療保険制度改革法(オバマケア)の存続が危うくなると訴えた。

討論会の時間は90分。今回を含め計3回行われる。主催者によると、新型コロナ感染拡大を防ぐため、会場の聴衆は両候補の家族や選挙陣営スタッフ、記者など約80人に限られた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


ニューズウィーク日本版 大森元貴「言葉の力」
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月15日号(7月8日発売)は「大森元貴『言葉の力』」特集。[ロングインタビュー]時代を映すアーティスト・大森元貴/[特別寄稿]羽生結弦がつづる「私はこの歌に救われた」


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン、今夏の観光売上高は鈍化見通し 客数は最高

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一

ビジネス

トランプ氏の銅関税、送電網などに使用される半製品も

ワールド

日米韓が合同訓練、B52爆撃機参加 国防相会談も開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中