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中国当局に海上拘束された香港デモ参加者 家族に残された手紙に記された想いは

2020年9月28日(月)19時10分

ウォンさんは2月14日に保釈された。香港高等裁判所は、ウォンさんの自宅に設置する複数の監視カメラを発注している。裁判の日程は未定だった。

ウォンさんが保釈中に逃亡したため、保釈金9万6000ドル(約1012万円)と、外部の弁護士を雇うために用意しておいた弁護料が裁判所によって押収された、とウォンさんの妻は言う。これによって家計の貯蓄の半分が消えたと彼女は話している。

弁護士の面会さえ認められず

警察によれば、ウォンさんが逮捕されたのは、彼の自宅を家宅捜索した結果、爆発物の製造に使われた可能性が疑われるビーカー、計量カップ、化学物質、電子機器が発見されたためだという。ウォンさんは爆発物製造の容疑で起訴された。殺傷の意図があったと判断されれば、刑期が最長20年に及ぶ罪である。この容疑について、ウォンさんも彼の妻も公式には何もコメントしていない。

ウォンさんの妻によれば、夫について公式の情報は何も受け取っておらず、唯一、香港警察が8月28日付けで、彼が中国で刑事訴追を受けることになったと家族に通知してきただけだという。香港当局によれば、12人の逮捕者は、中国当局によって示されたリストから中国本土の弁護士を選んで弁護を依頼することになるという。

彼女が夫のために雇った中国本土の弁護士は面会さえ認められなかったとウォンさんの妻はいう。この弁護士はロイターに対し、当局から、メディアの取材に応じれば弁護士資格を取り消すとの警告を受けているとして、コメントを拒んでいる。

「夫が私たちのことは心配する必要はない。義母とともに、私が家族を守るから」とウォンさんの妻はロイターに語った。「私は生涯、彼のことを待ち続ける」


Jessie Pang James Pomfret(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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