最新記事

米司法

トランプ、最高裁判事に保守派バレット氏を指名

2020年9月27日(日)23時27分

トランプ米大統領(左)は9月26日、すい臓がんによる合併症のため18日に死去した米最高裁判所の女性判事ルース・ギンズバーグ氏の後任に、保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁判事(48、右)を指名した。ホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領は26日、すい臓がんによる合併症のため18日に死去した米最高裁判所の女性判事ルース・ギンズバーグ氏の後任に、保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁判事(48)を指名した。

トランプ氏による最高裁判事の指名は3人目。バレット氏の指名が承認されれば、女性としては5人目の最高裁判事となる。また、保守派判事はリベラル派に対し6対3の割合となり、最高裁の保守化が進む。

最高裁で保守派の判事が多数を占めれば、人工妊娠中絶の権利の大幅な制限、宗教に関する個人の権利の強化、銃の所持に関する権利の拡大、性的少数者(LGBT)の権利拡大の制限、投票権の新たな制限など、話題性の高い問題で米国を右傾化させる可能性がある。

広告

Ads by Teads
トランプ氏が2017年に最高裁判事に指名したニール・ゴーサッチ氏や18年に指名したブレット・カバノー氏と同様、バレット氏は年齢が若いことから、終身制の最高裁判事の職を数十年間務め、長期にわたり保守派として影響を及ぼす可能性がある。

保守派として知られた故アントニン・スカリア元最高裁判事の調査官を務めたバレット氏は、ホワイトハウスで26日行われた式典で、スカリア氏の路線を踏襲すると表明。「スカリア氏の司法哲学は私のものでもある。判事は政策立案者ではなく、書かれたとおりに法を適用しなければならない」と述べた。

バレット氏は敬虔(けいけん)なカトリックで、2017年にトランプ大統領からシカゴに本部を置く第7巡回区連邦控訴裁の判事に指名された。ハイチ出身の養子を含め7人の子どもを持ち、大統領の重要な支持基盤であるキリスト教保守派の間で支持が厚い。

トランプ氏は26日の式典で「この国の最も優秀で才能ある法律家の1人を最高裁判事に指名できるのは光栄だ」とバレット氏を称賛。学校に通う年齢の子どもを持つ母親として、初めての最高裁判事になると述べた。

最高裁判事の人事は議会上院(定数100)の承認が必要。共和党が過半数の53議席を握っており、バレット氏の承認は確実とみられるが、民主党の抵抗も予想される。

共和党上院トップのマコネル院内総務はバレット氏を称賛する声明を発表し、承認手続きを速やかに進めると表明。

トランプ大統領は、10月12日から上院司法委員会で公聴会が行われると述べた。

一方、民主党の大統候補であるバイデン前副大統領は、11月3日の大統領選での勝者が判事を指名すべきだと改めて強調した。

民主党は、医療保険制度改革法(オバマケア)の行方を焦点に承認に反対する意向だ。最高裁では選挙後の11月10日、トランプ氏や共和党が申し立てたオバマケアの無効化を巡り審理が行われる。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国万科の元建て社債が過去最安値、売買停止に

ワールド

鳥インフルのパンデミック、コロナ禍より深刻な可能性

ワールド

印マヒンドラ&マヒンドラ、新型電動SUV発売 

ワールド

OPECプラス、第1四半期の生産量維持へ=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中