最新記事

韓国

韓国の新法相、秋美愛氏にも不正疑惑で、文在寅不信広がる

2020年9月24日(木)17時20分
佐々木和義

韓国の新法相、秋美愛氏にも不正疑惑が...... REUTERS/Fred Dufour

<度重なる不正疑惑で法務部長官を辞任した曺国(チョ・グク)氏の後を受けて就任した秋美愛(チュ・ミエ)氏にもまた不正疑惑が生じ、韓国国会が紛糾している...... >

本人や家族の度重なる不正疑惑が露呈して就任から2ヶ月あまりで法務部長官を辞任した曺国(チョ・グク)氏の後を受けて韓国法務部長官に就任した秋美愛(チュ・ミエ)氏もまた、不正疑惑が生じ、韓国国会が紛糾している。息子が兵役期間に特別待遇を受けた疑いから、韓国軍や兵役を経験した若者の間で政権に対する不満が広がっている。

「清廉潔白 」を売りにしてきた秋美愛法務部長官だったが......

秋美愛法務部長官は、2016年8月27日から2018年8月25日まで「共に民主党」の代表を務めた。相次ぐ不正疑惑で辞任した曺国前長官の後を受け、20年1月2日、法務部長官に就任した。

秋長官は就任早々、曺国前長官の疑惑解明を指揮して文在寅政権との対立が深まった尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長の側近と目された検察幹部32人を異動させ「大虐殺の人事」だと報じられた。

秋美愛長官の息子は、米軍を支援する韓国軍部隊のカトゥサ(KATUSA)に入隊した。文在寅大統領が就任し、秋氏が代表を務めた共に民主党が与党となった直後の17年6月、秋氏の息子が右ひざの手術を受けるため病気休暇を取得した。

病気休暇は6月5日から14日だったが、最終日の14日、電話で休暇の延長を申請した。軍は部隊員から休暇の申請が出されると、事情を詳細に確認し、休暇人数の制限や人材運用を加味して許可するか否かを判断する。

当初、弁護人は秋氏の息子自身が直接部隊に連絡して2回目の休暇を申請し、口頭で許可を得たと説明したが、サーバに録音されていた声の主は女性で、電話を受けた記録には秋氏の夫の名が記されていた。また、声の主は秋長官でもなく、長官自身も連絡した事実はないと述べており、補佐官が申請した疑惑が浮上した。

秋氏の息子は休暇が終了する23日に再延長を申請したが、部隊は許可を出さなかった。しかし、24日になっても復帰せず、25日に当直兵が本人に電話をかけると彼は自宅にいると答えたが、その20分後、上級部隊の大尉が、未復帰ではなく休暇として処理するようにと指示を出し、24日から27日まで個人休暇の扱いになった。検察は「軍務離脱罪」の疑いで当時の状況を調べている。

秋氏はまた、2014年から2015年にも長女が経営するレストランで250万ウォンの政治資金を使っており、裁判官出身で「清廉潔白 」を売りにしてきた秋氏の政治資金不正使用疑惑として問題になっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米マイクロソフト、英国への大規模投資発表 AIなど

ワールド

オラクルやシルバーレイク含む企業連合、TikTok

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロで4年ぶり安値 FOM

ワールド

イスラエル、ガザ市に地上侵攻 国防相「ガザは燃えて
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    出来栄えの軍配は? 確執噂のベッカム父子、SNSでの…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中