最新記事

メディア

西側メディアを装うロシアのプロパガンダ戦略 旧ソ連時代の手口が復活か

2020年9月8日(火)11時28分

フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさん(写真)は6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。ロンドンで2日撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさんは6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。帰ってきた反応には熱がこもっていた。

「あなたの記事に深く感謝を申し上げます。中国(あるいはロシア)のような全体主義国家は世界中で、最も強力な民主主義国家に対してさえ何とか方法を見つけて干渉しようとしている。信じ難いことですね」。ロイターが閲覧したこの電子メールは、コミュニケーション・マネジャーのアリス・シュルツ氏から6月15日付で送られてきたものだ。

しかし、シュルツを名乗る人物からのメールこそ、そうした「干渉」の一環らしいことが分かってきた。

左派有権者への影響力ねらう

フェイスブックとツイッターは1日、米連邦捜査局(FBI)の情報提供を受けて調査した結果、米国、英国その他諸国の左派有権者を狙ったロシアによる政治干渉運動で、ピース・データが中心的役割を果たしていたことが判明した、と発表した。

フェイスブックによると、ピース・データはフリー記者をそそのかして雇い、米大統領選や新型コロナウイルス感染症の世界的大流行、西側諸国の「戦争犯罪」などをテーマに記事を書かせることに成功していた。

ピース・データに執筆した記者6人への取材と、ロイターが閲覧した電子メールによって、ソーシャルメディアを通じた記者らへの接近手法や、1本当たり最大250ドル(約2万7000円)という報酬のほか、時として記事に政治的な切り口を入れるよう促していた実態が明らかになった。

ピース・データの共同編集者、ベルナデット・プラスキルを名乗る人物はロイターに電子メールで、「そうした指摘に非常に困惑しており、指摘を全面的に否定する」と告げてきた。この人物は電話やビデオコールでのやり取りを拒否した。

折しもロシアに関しては、2016年に続いて今年11月の米大統領選に再び介入しようとしていると警告する声が出ている。

ロシアはこうした指摘を繰り返し否定。ロイターは2日、ピース・データについて同国にコメントを要請したが、今のところ返信は得られていない。

ウォルターズさんは「自分が書いた記事は、まさに16年(米大統領選)にロシアが干渉したことに触れていた。今ではその皮肉が身にしみる」と語る。この記事の報酬は250ドルだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、ドローン問題巡る調査開始 北朝鮮が領空侵犯と

ワールド

米政権、ミネソタ州に捜査官「数百人」追加派遣 女性

ビジネス

米商務省、中国製ドローン規制案を撤回 トランプ氏訪

ビジネス

米政権が刑事訴追警告とパウエル氏、利下げ圧力強化の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 10
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中