最新記事

中豪関係

豪メディアの中国特派員、安全のため帰国 中国国家安全省の取り調べ受け

2020年9月8日(火)12時11分

オーストラリアの著名中国特派員2人が中国国家安全省から個別に取り調べを受けた後、身の安全のため帰国したことが分かった。写真はABCのビル・バートルズ特派員 ABC News (Australia)/ YouTube

オーストラリアの著名中国特派員2人が中国国家安全省から個別に取り調べを受けた後、身の安全のため帰国したことが分かった。豪公共放送ABCが8日に報じた。

帰国したのはABCのビル・バートルズ特派員と経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)のマイケル・スミス特派員。ABCとAFRによると、両氏は北京の豪大使館と上海の豪領事館に保護を求め、豪外交官らが両氏の出国を許可するよう中国当局側と交渉した。

AFRによると、両氏は中国国営中央テレビ系の外国語放送でキャスターを務め、中国当局に拘束されたオーストラリア国籍のチェン・レイさんについて質問に答えるまで出国を禁止されていた。両氏は中国当局から、チェンさんを巡る調査で「参考人」だと伝えられたという。

両氏は7日に中国を出国し、8日朝にシドニーに到着した。バートルズ氏はシドニー空港で記者団に対し、「このような状況」で中国を去らねばならなかったのは非常に残念だと述べた。

ABCは、豪政府の助言に従ってバートルズ氏を帰国させたと説明。AFRは声明で、2人は「通常通りの報道任務をこなしていた」とし、今回の件は「遺憾で憂慮すべき事態であり、豪中の協力関係に利益とならない」と表明した。

豪政府が新型コロナウイルスの発生源を巡る国際調査を要求して以来、両国間の緊張は高まっており、中国政府はこれまでにオーストラリアに対し、牛肉輸入を停止し、大麦に追加関税を導入、ワインの反ダンピング調査を開始するなどの措置に動いている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




オーストラリアの著名中国特派員2人が中国国家安全省から個別に取り調べを受けた後、身の安全のため帰国したことを伝える豪公共放送ABCのニュース ABC News (Australia)/ YouTube

【話題の記事】
・中国・三峡ダムに過去最大の水量流入、いまダムはどうなっている?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路
・世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ


20200915issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ボウマンFRB副議長、雇用の悪化に懸念 「断固たる

ワールド

イスラエル・シリア協議、土壇場で暗礁に 人道回廊巡

ワールド

新たな医薬品関税、貿易協定締結済みの国には適用され

ワールド

バイトダンス、新TikTok米事業で大きな役割維持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 3
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国はどこ?
  • 4
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 5
    砂糖はなぜ「コカイン」なのか?...エネルギー効率と…
  • 6
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 7
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【クイズ】ハーバード大学ではない...アメリカの「大…
  • 10
    「賃上げ」の実現はさらに遠く...サントリー新浪会長…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 4
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中