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「年収1000万超え」カリスマタクシー運転手の仕事術 コロナに負けず稼げる人はここが違う

2020年9月18日(金)18時55分
栗田 シメイ(ライター) *東洋経済オンラインからの転載

そんな吉田さんでも、コロナウイルスの影響は強く受けているという。

今春から旅行会社の依頼で、訪日するイスラエルの富裕層の送迎や買い物の付き添い、空港から富士山や日光、熱海、伊豆、箱根への旅行利用の送迎業務を請け負っていた。実現していれば、月間200万円にも届くことが想定されていたが、予約はすべてキャンセルとなった。

「以前はほとんどなかった、朝に予約が入らないということも月に何度かは経験するようになりました。そういうときは初心に戻って、都心へ向かっていく方向に流します。本当の都心は朝ダメだから、例えば環七から外側を6時くらいに流し、内側が7時くらい、山手通りの内側を10時くらいが目安です。そのあとは行き当たりばったりで流して、ホテルなんかにつけたりもして、昼までで2万円くらいでしたね。

あと細かいルールとして、JRで待つことはあっても、私鉄では待たない。私鉄だと近距離の人が圧倒的に多いですから。最近は新しいことにチャレンジしようと、『MOV』という配車アプリも取り入れてみました。流しでやる人なら、このアプリで十分ですよ。

結局、予約が入らないと、どれだけ経験があっても、限界があるということなんです。顧客をもっていてガツガツいける、若くて体力がある個タクの子とかは、今でも月200万くらいは稼ぐから」

コロナ後に思い描く夢

吉田さんはコロナ禍を機に、少しずつ仕事をセーブして生き方を変えることを意識し始めた。

無類の酒好きだが、仕事柄飲むことも控えてきた。2、3年後には最寄り駅でその日の飲み代を稼ぐくらいの肩の力を抜いた働き方も悪くない、と考えるようになったという。そして少し余裕ができれば、大好きな四国を奥さんと行脚するような日々を夢見ている。

取材の最後に、職業としてタクシードライバーを選択したことに後悔はないか、と聞いてみた。吉田さんは少し間を置いたあと、ほとんど後悔はしてない、と言ってから、こう続けた。

「でも、もう1回人生を歩めるなら、今度は漁師になりたいな、とも思いますよ。タクシーと漁業は似ていると思うんです。工夫すれば稼げるし、そこに面白みがあるわけ。自分でおいしい魚を捕まえて、それを肴にうまいお酒を飲む。そんな人生には憧れはありますね。

たぶんね、仮に別の人生があっても、勉強して、進学してサラリーマンにという生き方は選ばないと思う。どんな仕事でも、工夫してほかよりも突き抜ければ稼げるでしょうから」

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
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