最新記事

韓国

次期WTO事務局長選、韓国は日本に支持を呼びかけた......

2020年7月28日(火)13時30分
佐々木和義

9月11日に韓国政府が日本の輸出管理強化をWTOに提訴したとき、兪氏は、韓国は日本との世界貿易機関(WTO)紛争で百戦百勝しており徹底的に立ち向かうとして、日本と対決する強気な姿勢を見せた。

一方、韓国政府がGSOMIA延長とWTO提訴の取り下げを通告した直後の19年12月、出席したソウルジャパンクラブ(SJC)の懇談会で、在韓日本企業に韓国への投資拡大を呼びかけもしている。

日本、米国、中国は候補者を出さず、EUも統一候補の擁立を見送った

次期WTO事務局長は、機能不全に陥っているWTOの改革とコロナ・パンデミックで広がる保護貿易主義の排除が期待されており、同時に、WTO初の女性事務局長、また初のアフリカ出身者の選出に注目が集まっている。

ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏はワクチンと予防接種のための世界同盟GAVIアライアンス理事長を務めている。オコンジョイウェアラ氏は世界銀行の専務理事を務めた後、ナイジェリアの財務相として経済改革を主導したアフリカ出身の女性で、ケニアのアミナ・モハメド元WTO閣僚会議議長もアフリカ出身の女性だ。

いま、米国と中国、日本と韓国の経済葛藤が大きく、米国とEUの葛藤も取り沙汰されている。日本、米国、中国は候補者を出さず、EUも統一候補の擁立を見送った。現職のアゼベド事務局長はブラジル出身で、次は先進国からという声があり、アイルランド出身で欧州連合(EU)の通商政策を担ってきたホーガン欧州委員が有力視されていたが、出馬を断念した。経済葛藤を抱える国が推す候補は、対峙する国が反対に回る可能性が大きく、当選は難しいからだ。

日本政府はナイジェリアとケニアのいずれかの候補を推す方針を固めた。しかし、ケニアの候補は同国に多額の投資をしてきた中国が支援に回るとみられており、その際、米国が反対する可能性がある。韓国候補も日本が反対に回る。韓国は輸出管理を強化した日本をふたたびWTOに提訴しており、兪候補はその陣頭指揮を取る立場にある。
選挙運動期間は2カ月間で、その後、新事務局長が誕生することとなる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マネタリーベース、国債売却増で18年ぶり減少幅 Q

ビジネス

三井物産、連結純利益予想を上方修正 LNGや金属資

ワールド

EUが排出量削減目標のさらなる後退検討、COP30

ビジネス

大林組、26年3月期業績予想を増益に修正 市場予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 9
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中