最新記事

韓国

次期WTO事務局長選、韓国は日本に支持を呼びかけた......

2020年7月28日(火)13時30分
佐々木和義

次期事務局長選に立候補している韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長 Jay Louvion-REUTERS

<次期事務局長選にサウジアラビア、メキシコ、エジプト、モルドバ、ナイジェリア、ケニア、韓国の8人が立候補。韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は、日本に支持を呼びかけた......>

世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長が辞任を表明し、英国、サウジアラビア、メキシコ、エジプト、モルドバ、ナイジェリア、ケニア、韓国の8人が次期事務局長選に立候補した。日本と貿易摩擦が続く韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は、スイス・ジュネーブのWTO本部で行った所信表明に続く記者会見で、日本に支持を呼びかけた。WTO事務局長の選出は全会一致が慣例で、日本が拒絶すると選出される可能性はほぼない。日本はアフリカ出身の候補を支援する方針だ。

「誰がWTOを改革する適任者か日本は能力と資質を見る国だ」

WTOは機能不全が続いている。最高裁に相当する上級委員会の定員は7人で、1つの案件を3人1組で審理する。任期が満了した上級委員の後任者の選任を米国が2年以上に渡って拒絶している影響で、上級委員が1人だけとなり、上級審理ができない状況が続いている。

WTO閣僚会合は2020年6月に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で、21年に延期された。閣僚会合の準備と21年8月に任期を迎える事務局長選出の時期が重なることから、アゼベド事務局長は1年繰り上げて辞任すると表明し、事務局長選出の手続きに入ったのである。

WTO事務局長は加盟国協議で最も支持が低い候補者を脱落させる方式を繰り返して絞り込み、全会一致で選出する。いずれかの国が反対する候補が選出される可能性はほぼない。

韓国の兪候補は会見で、事務局長候補の中で誰がWTOを改革する適任者か日本は能力と資質を見る国だと述べ、また、中国は多国間貿易の重要性を理解しているとして、日中2カ国の支持を訴えた。

兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長とは......

韓国は過去2回、WTO事務局長選に候補を立てたが落選し、今回3度目の挑戦となる。韓国政府は、2021年6月に任期を迎える経済協力開発機構(OECD)事務総長に康京和外交部長官の出馬を考えたが、康長官本人が断ったため、通商交渉本部長の兪氏をWTO事務局長選に出馬させることにした。

兪明希通商交渉本部長はソウル大学を卒業後、外交部や通商交渉本部の投資課長、駐中韓国大使館一等書記官、アジア太平洋経済協力会議(APEC)派遣参事官、通商交渉室長などを歴任し、2019年2月、現職に昇進した通商一筋25年の官僚である。

その間、日中韓3カ国自由貿易協定(FTA)の締結に向けた実務者会議やアジア太平洋地域の16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の韓国代表を務めた。

兪氏は現職就任後、たびたび日本と対峙している。2019年4月、日本が福島など8県の水産物に対する韓国の禁輸措置を提訴した紛争で、WTOの上級委員会が日本敗訴の決定を下した。日本が決定の受け入れを拒否すると、兪氏は経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で日本を非難する発言を行った。

同年7月、日本政府が韓国向け輸出管理を強化し、韓国をホワイト国から除外する件についてパブリックコメントを募集した際にも、米政府や米議会の仲裁を求めて渡米し、日本の措置を批判した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏会計検査院、歳出削減促す 増税頼み限界

ビジネス

日立労組、26年春闘のベア要求1万8000円 一時

ビジネス

日銀、3月か4月会合で利上げの可能性「相応にある」

ワールド

アングル:米公民権運動導いたJ・ジャクソン師死去、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポーランドが「核武装」に意欲、NATO諸国も米国の核の傘を信用できず
  • 2
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 5
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中