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アングル:米公民権運動導いたJ・ジャクソン師死去、分断深まる米国に警鐘

2026年02月19日(木)17時14分

2月17日に死去した、米国の公民権指導者ジェシー・ジャクソン師。2021年8月、ワシントンで撮影。 REUTERS/Evelyn Hockstein

Bianca ‌Flowers Kat Stafford Disha Raychaudhuri

[18日 ロイター] - 米国の公民権指導者ジェシー・ジャクソン師‌が17日に84歳で死去し、各地で追悼の声が広がっている。人権擁護団体は、多様性を重んじ​る取り組みへの逆風が強まる中でも、人種の壁を越えた公正な社会と開かれた民主主義を目指した彼の遺志を継承していく考えを示した。

ジャクソン師は1968年のマーティン・ル⁠ーサー・キング・ジュニア牧師の暗殺後、公民権​運動の中心的指導者の1人となった。半世紀以上にわたり、人種隔離政策の撤廃や黒人や社会的に不利な立場に置かれてきた人々の政治参加拡大に力を注いできた。

だが、こういった取り組みはトランプ政権下でいっそう厳しい状況に置かれている。

政権は多様性に関する施策や政策を縮小してきた。奴隷制に関する博物館の展示や教材のうち「反米的」とみなすものをやり玉にあげたほか、南北戦争で奴隷制継続のため戦った指導者の像など、南部連合を称える記念碑の⁠修復も支持している。人権擁護団体は、数十年にわたる歩みが逆戻りしかねないと強い懸念を示している。

公民権運動の指導者や専門家ら十数人に取材したところ、人種間の緊張が続き、政治的分断が深まる中、ジャクソン師が思い描いた多民族社⁠会としての米​国民主主義は危機にひんしているとの指摘があった。

「権利を柱として成り立ってきた米国社会の土台が崩れかねない状況だ」。全米都市同盟の最高経営責任者(CEO)、マーク・モリアル氏は語る。「この60―70年は、多文化・多民族の民主主義を築いてきた時代だった。いまはその成果が揺らぐ危うい局面にある」

トランプ氏はジャクソン師の死から数時間後、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に追悼文と2人が写った画像を数枚投稿。「個性と気概、そして『ストリートの知恵』にあふれた素晴らしい人物だった」と述べ、「圧倒的な存在感があった」と振り返った。

ジャクソン師の訃報についてコメントを求められたホワイトハウスは、トランプ氏の投稿を⁠参照するよう求め、多様性に対する取り組みの縮小についてはコメントしなかった。

<次世代の手本>

民主党の大‌統領候補指名を2度目指したジャクソン師は、社会運動で高まった熱気や支持を、実際の選挙での票や政治的影響力に結びつけるカリスマ的な⁠才覚で知られ⁠た。自身が設立した公民権団体「レインボー・プッシュ連合」を通じて数百万人の有権者登録を後押しし、人種的正義を求める闘いの最前線にも立ち続けた。

支持者らは、こうした政治的手腕はいまも必要だと強調する。

トランプ政権による多様性・公平性・包摂性(DEI)政策の後退や強硬な移民取り締まり、さらには1965年の投票権法など重要な公民権法を揺るがす動きが続く中で、組織化を進め市民権と投票権を守る闘いを続けることが、師の遺産を称えることになる――公民権弁護士で民主党の政治アナリ‌ストでもあるアレバ・マーティン氏はそう指摘した。

「私たちは遺志を継がなければならない」とマーティン氏は言う。「もしジャ​クソン師が健‌在だったら、全国を回って有権者を組織して⁠いただろう。それこそが議会を取り戻し、現政権で進んだ逆行的な政​策を改める唯一の道だと分かっていたはずだ」

草の根の活動家らは、民主党の支持率が高い都市で強硬な移民取り締まりや摘発が相次いでいると警鐘を鳴らしている。こうした措置は黒人やラテン系などのコミュニティーを狙い撃ちにしており、移民票の影響力をそぐ狙いがあると人権擁護団体は訴えている。    全米黒人地位向上協会(NAACP)のデリック・ジョンソン会長はジャクソン師の功績を称え、11月の中間選挙に向けて働きかけを強化するという。有権者の権利剥奪や登録活動を巡る複数の訴訟にも取り組んでいると説明した。

「ジェ‌シー・ジャクソンは米国の歴史そのものだ」とジョンソン氏は述べた。「人は誰でも、自らの影響力を生かし、民主主義を支えながら人々を結びつける取り組みを進めることが可能であると証明した」

全米100余りの組織のネットワーク「ムーブメント・フォ​ー・ブラック・ライブズ」は、ジャクソン師の選挙活動における功績を継承して⁠いく方針だ。連邦政府による移民取り締まりが続く中、この団体は全国規模の即応型「地域ケアネットワーク」を構築。すでに少なくとも7カ所で、食料などの支援を行ってきた。

「大統領選に挑み、黒人左派の声を代弁し、多様な人々を束ね、制度に関与する必要性をためらわず訴えた。彼にはそうした大胆さがあっ​た」。共同事務局長のアマラ・エニア博士はこう語った。

シカゴ在住のジフ・シストランクさん(70)は長年、ジャクソン師設立のレインボー・プッシュ連合本部で開かれる土曜朝の無料朝食会に参加している。親睦を深めながら地域の活動にも関わる集まりだ。

「ジャクソン師は、どう立ち向かうかを教えてくれた。声を上げる方法、そして真の指導者とはどうあるべきかも教えてくれた」とシストランクさんは語った。「変化を願う次の世代にとって、彼の人生こそが手本だ」

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