最新記事

香港

香港民主派、羅冠聡インタビュー「国際社会、中国に断固対処を」

2020年7月3日(金)11時40分

香港の民主活動家、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏は(写真)、ロイターとのインタビューで、香港で起きていることは中国が独裁主義を一段と強めていることを表しており、国際社会は連携し、断固とした姿勢でこの問題に対処する必要があると訴えた。香港で2017年10月撮影(2020年 ロイター/Bobby Yip)

香港の民主活動家、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏は、ロイターとのインタビューで、香港で起きていることは中国が独裁主義を一段と強めていることを表しており、国際社会は連携し、断固とした姿勢でこの問題に対処する必要があると訴えた。

中国政府が香港の統制を強める「香港国家安全維持法」が今週、施行された。香港の民主派や欧米諸国の間では、香港返還に関する1984年の「中英共同宣言」に盛り込まれた香港の高度な自治を保障する一国二制度が崩壊するとの懸念が強まっている。

香港民主派による2014年の大規模デモ「雨傘運動」を主導した羅氏は、既に香港を離れており、渡航先は明かしていない。

インターネットの動画でロイターの取材に応じた羅氏は「香港の抗議活動はこれまで、中国がますます独裁主義を強めていることを国際社会が認識する機会となっていた」と説明。国際社会は、中国との通商で得る経済的利益よりも人権を優先すべきで、断固とした姿勢で中国の問題に多国間で対処すべきだとの考えを示した。

「国家安全維持法は、『一国二制度』の終わりを意味する。もはや2つの制度は存在しなくなり、香港と中国の間にファイアウォールはなくなり、(香港は)基本的に中国に統合されることになる」と懸念を強めた。

「国際社会はこの状況を認識すべきで、中国の責任を追及するため、必要なメカニズムを設けるべきだ」と指摘。「保障されている自治に基づき香港が一定の特権を享受すべきかという点について、国際社会のレビューが必要だ」と説明した。

また、形式や方法は変わるものの、民主化を求める動きは今後も力強く続き、抵抗運動は衰えてはいないと強調した。

中国の習近平国家主席に対しては「退くべきだ」と述べ、国全体を混乱させるのではなく、国民を大切にし、より健全で明るい方向に中国を導く指導者が必要だと強調した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...
・韓国、環境対策で包装材削減に向けた「セット販売禁止法」で大混乱 発表2日で撤回へ.


20200707issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ社長、日産との統合協議再開「当分もうない」

ビジネス

世界経済の不確実性、貿易戦争終結でも続く=アイルラ

ワールド

パキスタン、インドの攻撃で約50人死亡と発表 40

ビジネス

再送日産、追加で1万1000人削減 従来の9000
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中