最新記事

韓国

韓国、28年ぶりに「少女像」前で集会できなかった慰安婦支援団体 対立深まる

2020年7月17日(金)16時00分
佐々木和義

「定位置」の集会めぐって対立が深まる...... YTN new-YouTube

<元慰安婦の支援を標榜する正義記憶連帯(正義連)28年間、日本大使館前で水曜集会を開催してきたが、正義連の不正を糾弾する市民団体が正義連の定位置で集会を開催し、紛糾している......>

元慰安婦の支援を標榜する正義記憶連帯(正義連)は2020年7月8日、水曜集会を「記者会見」形式で実施した。

正義連は28年間、日本大使館前で水曜集会を開催してきたが、正義連と尹美香(ユン・ミヒャン)前理事長の不正を糾弾する市民団体が正義連の定位置で集会を開催し、同地管轄する鐘路区庁は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する名目で、大使館前を集会禁止場所に指定した。

「定位置」の集会めぐって対立が深まる

韓国で新型コロナウイルスの感染が深刻さを増してきた2月20日、ソウル鐘路区庁はタプコル公園を閉鎖し、ソウル市は光化門広場やソウル広場など、デモ・集会会場の使用を禁止した。翌月3月1日に大規模な反日集会が予定されていたのだ。

デモや集会は憲法で保障された権利であり、国や自治体が禁止を命じることはできない。そこで、集会場所の使用を禁止し、事実上の集会禁止措置を取ったが、光化門広場から300メートル余りしか離れていない旧日本大使館前は使用禁止区域に含めなかった。

5月7日、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが、正義連と前理事長の尹美香氏の問題を提起して以降、不正疑惑が増大し、保守系市民団体「自由連帯」が、6月24日の水曜日に旧日本大使館前で、正義連の解体と慰安婦像の撤去を求める集会を行なった。

集会計画者は開催予定日の30日前から2日前の間に、開催場所を管轄する警察署に届け出ることになっており、先着順で受理される。「自由連帯」は午前0時の受付開始と同時に届け出た。

同じ日時に同じ場所で集会を行う届け出が出されると、警察は該当場所を分割するなど調整を提案するが、優先権を持つ団体の受け入れが前提だ。自由連帯が提案を拒絶し、1992年1月に当時の宮沢喜一首相の訪韓を機に日本大使館前で集会を開いてから毎週水曜日に集会を開催してきた正義連は、大使館前の慰安婦像から10メートルほど離れた聯合ニュース本社前で集会を開催した。

正義連を支援する大学生ら約20人が空白地帯となった慰安婦像と自身の体をひもで結びつけて、座り込みを行った。警察は大学生らに自主的な解散を求めたが、応じることはなかった。

自由連帯は毎週水曜日に集会を続けるとし、また、保守系市民団体「反日銅像真実糾明共同対策委員会」が7月29日から毎週水曜日に聯合ニュース本社前で集会を開くと警察に届け出て、正義連が慰安婦像を囲んで集会を行うことは難しくなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物は下落、米利下げ後ずれによる影響を懸念

ビジネス

香港のビットコイン・イーサ現物ETF、来週取引開始

ビジネス

氷見野副総裁、決定会合に電話会議で出席 コロナに感

ビジネス

ホンダ、旭化成と電池部材の生産で協業 カナダの新工
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中