最新記事

事件

米ミネアポリス黒人男性の拘束死 動画は訴追された同僚警官へ有利に?

2020年6月8日(月)17時35分

ジョージ・フロイドを横向きにすべきと提案

法廷資料によると、元警官らはフロイドさんを拘束した後、彼を一瞬パトカーに乗せようと試みたが、彼は閉所恐怖症だと言って乗車を拒んだ。もみ合いの後、ショービン容疑者は手錠を掛けたフロイドさんを地面に引き倒した。

ショービン容疑者がフロイドさんの首に膝を乗せる間、レーン、ケーン両容疑者はフロイドさんを押さえつける手伝いをしたが、それでも2人、特にレーン容疑者には弁護の余地があると法律専門家は言う。

法廷資料によると、フロイドさんが押さえつけられた直後、レーン容疑者はショービン容疑者に対し、フロイドさんの体の向きを変えて横向きにすべきではないかと尋ねたが、答えは「ノー」だった。

レーン容疑者はまた、フロイドさんが精神錯乱状態の発作を起こしているのではないか心配だ、と口にしていた。

元ニューヨーク市殺人検察のポール・カラン氏は「レーン容疑者の起訴は最も難しいだろう。彼がフロイドさんの向きを変えるようショービン容疑者に少なくとも2回促し、フロイドさんを積極的に助けようとした、と弁護人は述べるだろうから」と話す。

レーン容疑者の弁護士は4日の法廷で、依頼人の容疑者は訓練で受けてきた命令に従っており「自らが成すべきだと考えたことは、全て行っていた」と述べた。

法廷資料によると、ケーン容疑者はフロイドさんの拘束中、彼の背中を押さえていた。法律専門家によると、同容疑者は拘束の最中に口を閉ざしていたこともあり、3人の中で弁護が最も難しいとみられる。

専門家によると、ケーン容疑者はショービン容疑者が首にかけていた力の強さに気付かず、手遅れになるまでフロイドさんの状態を見極められなかったと主張する可能性がある。

ケーン、レーンの2容疑者は比較的、ランクが下の警官であることが有利に働くかもしれない。

「彼らは、指揮系統に背きたくなかったと言うだろう」と弁護士のジョゼフ・フライドバーグ氏は話した。

(Tom Hals記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・米政権のデモ弾圧を見た西欧諸国は、今度こそアメリカに対する幻想を捨てた
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・黒人男性ジョージ・フロイドの霊柩車に、警官がひざまずいて弔意を示す
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200616issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏「北朝鮮問題は解決可能」、金正恩氏と良好

ワールド

トランプ氏、ガザ停戦「1週間以内に実現可能」

ワールド

イラン、IAEAの核施設視察を拒否の可能性 アラグ

ワールド

「トランプ氏の希望に応じる」、FRB議長後任報道巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中