最新記事

新型コロナウイルス

外国にいる恋人の呼び寄せ可、ただし「証拠」が必要 デンマーク

Police Require Proof of Relationship

2020年5月27日(水)18時40分
エミリー・チャコール

コロナ対策で一方通行になった道を歩くカップル(3月20日、コペンハーゲン) Martin Sylvest/REUTERS

<ウイルス対策の渡航制限で離れ離れになっていたカップルがやっと会えると思ったら、国境で本物のカップル同士であることを警察に証明せよと?>

デンマークでは、新型コロナ対策制限緩和の一環で、海外にいる国民のパートナーの入国が許可されることになった。ドイツおよび他の北欧諸国にいる配偶者や同棲相手、婚約者や「恋人」など、パートナーなら誰でもオーケーだ。

ただし、条件がある。「本物」のパートナーであることを証明しなければいけない。デンマーク国家警察が先ごろ公開した渡航に関する最新情報によると、「デンマーク国籍を持つ者と、少なくとも6カ月にわたってパートナー関係にあること」が入国許可の条件で、デンマーク国境で証拠を提示する。パートナーの名前や住所のほか、メールや電話のやりとりの写し、写真などが必要だ。

国境でどの程度の「証拠」を提示するかは各自の判断に任されているが、デンマークへの入国が保証されているわけではないという。

「入国を許可するかどうかは、国境で総合的に判断する」と、警察は言う。電話やメール、SNSのやりとりだけによるバーチャル恋愛関係は認められない。

パートナー同士のプライベートなやりとりを見る権利が警察にあるのか、という批判もある。デンマークの法務大臣ニック・ヘケロップはこれに対し、実際にパートナー関係である旨の文書があれば足りると、地元テレビ局に対して述べた。まだ確認は取れていない。

<参考記事>コロナで破局?ベビーブーム? 「自宅待機」で変わるパートナー関係

外国人旅行客をどう受け入れる?

ヘケロップはデンマークの放送局TV2の取材に対して、「自分はパートナー関係にあると申告し、その内容を書面で提出してもらえば、それで十分だ」と述べたと、現地時間5月25日に複数の地元メディアが報じた。本誌ではデンマーク議会の担当者に連絡を取り、この新たな措置に関する追加の情報を求めたが、記事公開時までに返答はなかった。

デンマークでは、新型コロナウイルスの感染者や死者数の減少を受けて、経済活動や市民の移動が徐々に解禁されている。他国からデンマークへの渡航制限緩和は、なかでも議論を呼ぶ問題だ。メッテ・フレデリクセン首相が自身の公式フェイスブックページで公開した5月20日付の発表によれば、渡航制限緩和の詳細は29日に公開する予定だという。

<参考記事>「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

「私たちのすばらしい国に再び観光客を迎えることを心待ちにしている。また、デンマークにとって、観光業が大きな存在だ」と、フレデリクセンは記す。「もちろん『無条件で』国境の通行を認めれば、新たな感染の連鎖を引き起こすリスクがある。難しい問題だ」

(翻訳:ガリレオ)

20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、バイデン氏のFRB人事巡り調査指示 自

ビジネス

M&A市場は来年も活況、米ゴールドマンCFOが予想

ワールド

米国務省コメント、強固な日米同盟示すもの=中国軍の

ワールド

マスク氏、DOGEは「少し成功」 復帰否定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中