最新記事

医療

新型コロナウイルスが深めた絆 双子の救命医それぞれの最前線

2020年5月5日(火)12時00分

父の願い

双子の母親であるリンダ・ダーゾさんも、2人が感染を恐れていることを感じ取っている。リンダさんは記者との電話で、「今こそ、2人をしっかりハグしてあげることが必要だと思うのに」と涙声で語った。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えるのではないか」

夜勤の多かった父ジェームスさんは、シフトを終えた後、息子たちが学校に行く準備をするあいだに職場でのエピソードを語り聞かせていた。しかし、救命医療への情熱をかき立てるつもりはなかった。救えなかった命や無能な同僚への苛立ちについても語るように心がけた。

それでも、ジェームスさんは息子たちが医療の道を選んだ理由は理解している。「やり甲斐のある仕事を探すなら」と、ジェームスさんは言う。「緊急治療室に勝る場所はない」

今のジェームスさんにとって、息子たちを「同志」と思えるのは喜びだ。容態の悪い患者をどう治療したか息子たちが語るとき、ジェームスさんはあれこれと口を挟むのがお気に入りである。彼らが学校でどれほど勉強したのか驚かされる、とジェームスさんは言う。息子たちにとっては、父親が実に多くのことを記憶していることが驚きだ。

ジェームスさんには、息子たちがリスクを負っていることが分かる。子どものころ、マイケルさんとデニスさんがやっていたゲームを思い出す。2人は階段を途中まで登って、そこから飛び降りる。兄弟はお互いに、少しでも高い段から飛ぼうとしていた。

「一方では、止めなさいと言いたくなる。危ないからね。でも他方では、言わないでおこうと思う。息子たちには大胆に人生を送ってもらいたい」と、ジェームスさんは言う。

「息子たちは力を合わせて、1人ではできないことをやってきた」

Nick Brown(翻訳:エァクレーレン)



[ニューヨーク ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
・東京都、新型コロナウイルス新規感染87人確認 都内合計4655人に(インフォグラフィック)
・韓国のコロナ対策を称える日本に欠ける視点
・トランプ「米国の新型コロナウイルス死者最大10万人、ワクチンは年内にできる」


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国春節の9連休、国内旅行と消費支出を押し上げ

ビジネス

グーグル、データセンター向けに米電力会社2社と契約

ワールド

米、ロシアとUAEの個人・団体にサイバー関連の制裁

ビジネス

アップル、AIなど技術投資優先 株主総会でCEO表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中