最新記事

米中関係

トランプ政権、新型コロナウイルスめぐる中国批判止まらず 医薬品供給での報復懸念する声も

2020年3月26日(木)13時11分

トランプ米大統領と一部高官は、新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡り、中国を繰り返し非難する一方、政権内や専門家からは中国の助けが必要な時期に敵対すべきではないと懸念する声も上がる。写真は大統領とポンペオ国務長官、20日撮影。(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領と一部高官は、新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡り、中国を繰り返し非難する一方、政権内や専門家からは中国の助けが必要な時期に敵対すべきではないと懸念する声も上がる。

新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び続けたトランプ氏は今週に入って呼び方を変え、態度を軟化させたが、ポンペオ米国務長官は25日、「武漢ウイルス」との呼称を使い、中国人が「意図的に偽情報を流している」と強い言葉で非難した。

両国の対立では、再選を目指すトランプ大統領が公約に掲げる米中通商合意もリスクにさらされている。

これまで、米中の対立は言葉の応酬にとどまっていたが、実際に行動に移る可能性が浮上しつつある。

ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は中国製の医薬品や医療機器への米国の依存度を減らすことを目的に新たな「バイ・アメリカ」大統領令を策定中だ。

一方、中国はこの動きに非現実的で賢明ではないと反論。

中国が米国に報復する場合、通商合意の履行を遅らせるだけではなく、米国への主要な医療品サプライヤーとしての地位を利用することも可能だ。

中国国営の新華社は、世界は中国を非難するどころか中国に感謝すべきだとする記事を掲載。記事は、中国政府が医薬品の輸出を禁じれば、「米国は新型コロナ感染の地獄と化す」と警告した。

米政府高官が匿名を条件に語ったところでは、トランプ政権内では、ムニューシン財務長官を中心とするグループがナバロ氏の動きに反対している。新型コロナとの戦いと世界経済の下支えで中国の支援が必要な時に同国と敵対すべきではないとの考えからだという。

ホワイトハウスからコメントは得られていない。

戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアフェロー、マシュー・グッドマン氏は「平時なら、米国が人工呼吸器やマスクなどの医療品を自国で生産する能力を備えることに同意するが、いまはそのような政策を検討する時ではない」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・欧州当局「新型コロナウイルス、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発」
・新型コロナウイルス感染症で「嗅覚がなくなる」という症例が多数確認される
・新型コロナ、急がれる医薬品開発──抗ウイルス薬やワクチンがなかなかできないのはなぜ?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同

ワールド

英ロンドンで大規模デモ、反移民訴え 11万人参加

ビジネス

フィッチが仏国債格下げ、過去最低「Aプラス」 財政

ビジネス

中国、米の半導体貿易政策を調査 「差別的扱い」 通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 10
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中