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新型コロナ、休校で子育て家庭が大混乱した3つの背景

2020年3月27日(金)17時05分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

ここで、この約1,800億円の予算規模について考えてみたい。18歳未満の児童のいる世帯は1,127万世帯(厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査」)であり、このうち4割が収入減少に直結しやすい世帯(6割の父母ともに仕事ありの世帯のうち半数の3割+1割の母のみ仕事ありの世帯)とすると、約474万世帯に支援が必要な可能性がある。仮に、これらの世帯の労働者全てを対象とすると、「474万人×日額8,330円×24日(2/27~3/31の平日)=9,476億円」となる。

つまり、約1,800億円の予算規模は、支援の必要可能性のある世帯のうち、およそ5分の1が対象だ。当然ながら、必ずしも全ての世帯に支援が必要であるわけではない。しかし、この数字は3月中までのおよそ1カ月の試算であり、地域によっては長期化や再度の休校要請が出る可能性もあるかもしれない。

また、助成は事業主に対して行われるため、休業が結果的に解雇につながりやすいパートタイムなどの非正規雇用者の場合、果たして自分の手元に収入として入るのかという不安もあるのではないか。

政府は、困っている家庭の支援に確実につながるような仕組みを整えるとともに、状況を見ながら更なる予算枠確保に対応する必要があるだろう。

Kuga_Profile.jpeg[執筆者]
久我 尚子
ニッセイ基礎研究所
生活研究部 主任研究員

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