最新記事

韓国

韓国で一気に広がる集会の中止 三一節の反日集会も大幅縮小か

2020年2月26日(水)16時30分
佐々木和義

24日、韓国では国会本会議も中止となった...... Yonhap via REUTERS

<ソウル光化門広場は、毎週末、数百人から数千人規模のさまざまな集会が行われているが、新型コロナウイルスが拡散するおそれから、集会の中止が要請されている......>

ソウル市鐘路区が2020年2月20日、同区のタプコル公園を閉鎖すると発表し、ソウル市は朴元淳(パク・ウォンスン)市長が2月21日午前10時に開いた記者会見で、光化門広場、ソウル広場、清渓川広場の使用を禁止すると発表した。

市は合わせて3467の福祉施設を休館とするが、生活保護を受けている高齢者等に食事を提供する民間の無料給食所も休業するなど、生活弱者に不安が広がっている。

集会を中止し、デモをオンラインに

ソウル光化門広場は、毎週末、数百人から数千人規模のさまざまな集会が行われており、新型コロナウイルスが拡散するおそれがあるという声が出はじめている。政府機関やソウル市は、集会の主催者等に中止や延期を求めるが、応じない団体もある。

市が広場等の使用禁止を発表した21日、正しい社会市民会議など保守系17団体が国会議員会館で「4・15総選挙・選挙革命国民連帯」の発足式を開催した。国会事務処の延期要請に対し、主催側は「右派自由陣営の候補者は命をかけている」と反論し強行した。

デモや集会は憲法で保障された権利で、国や自治体が禁止を命じることはできない。そこで市が取った苦肉の策が集会場の使用禁止である。市は大規模集会を予定している団体に改めて使用禁止を通知し、ソウル地方警察庁にも協力を要請、違反者には300万ウォン(約28万円)の罰金を課すことにした。

しかし、毎週、光化門教保ビル前で集会を開いているチョン・グァンフン牧師主導の「文在寅(大統領)の下野に向けた汎国民闘争本部」は予定を変更しない方針だ。広場ではないため、禁止を強制できないと警察は懸念する。

チョン牧師は全国各地を巡回し「自由右派勢力が200議席以上獲得しなければならない」と発言しており、検察は事前選挙運動容疑を適用して令状を請求した。

集会を取りやめた団体もある。1992年から日本大使館前で毎週「水曜集会」を行なってきた正義記憶連帯は、デモをオンラインで行うと発表した。26日に予定する1428回水曜集会をフェイスブック・ライブで行い、書き込みで出席をチェックする計画だ。労災現場の実態を告発する「希望バス」の企画団体も22日に予定していた日程の延期を決定した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中