最新記事

私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】

「韓国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた韓国人たちの物語

WHAT THEY LOVE ABOUT JAPAN: KOREAN STORIES

2020年2月4日(火)06時45分
森田優介(本誌記者)

ソウルの繁華街 SeanPavonePhoto-iStock.

<「反中」「反韓」「反日」......国と国民を同一視した言説があふれるが、隣国との間には個人レベルのつながりも多く存在する。「人を知る」視点を提供するべく、日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの生きざまを紹介する特集を企画した>

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、反中感情が世界に広がっている――そんな報道が出た。

憎むべきはウイルスであり批判すべきは当局の対応だとする冷静な声や、中国人差別に反対する動きもある。だが蔓延する不安が、「自業自得だ!」「出て行け!」という罵声をネットや路上にあふれさせる。

本誌は前号で、日本との縁を育んできた中国人たちを取り上げた。東京で活躍する声優から上海で日本式の保育園をつくった母親まで、一人一人の物語を提示することで、今まさに目の前で起こっているような、国と国民を同一視して糾弾する言説に異を唱える狙いがあった。

今号は韓国人だ。過去最悪に陥った日韓関係の中で、韓国人は全員「反日」だと捉え、それに対抗するかのように、韓国政府に限らず「韓国人」全体を批判する日本人――。日本のカルチャーを敬愛する韓国人を紹介することで、そうした風潮に対しても、日本と韓国の間に確かに存在するつながりを再提示できればと願っている。

毎号一般人のスナップ写真を無数に載せる「東京グラフィティ」という日本の若者向けカルチャー誌がある。2019年12月号の特集は「日韓LOVE&PEACE」となかなかに冒険的だ。山本太郎やタレントのはるな愛、評論家の金慶珠らが登場し、関係改善を訴えている。

だがそれよりも目を引くのが、日本人と韓国人夫婦の家族8組、そして日本人と韓国人の若いカップル10組のスナップ写真だ。韓国のアイドルや化粧品が好きな日本人もいれば、日本のアニメや映画が好きな韓国人もいる――といった、誰もが見聞きする以上の「つながり」が軽やかに映し出されている。

magSR200203korean-intro-2.png

2月11日号「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集の冒頭

今すぐに韓国人の友人を見つけることは難しいかもしれない。だが、本誌で描き出す韓国人たちの物語に耳を傾けることで「人を知る」視点を得ることはできる。なぜソウル出身の女性タレントが日本語で短歌を詠むのか。なぜ韓国のDJが日本の「昭和歌謡」をメインに活動するのか。そこから見えてくる何かがあるはずだ。

国同士の関係には厳しい現実が横たわっている。しかし個人レベルのつながりもまた、もう1つの確かな現実だ。彼らの「日本の●●を好きな理由」が、韓国だけでなく日本を見つめ直すきっかけにもなる。

<2020年2月11日号「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集より>

「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」より
ソウルで日本人客をおもてなし 「小川剛(長渕剛+小川英二)」の語った原点
ナイトテンポ、「昭和歌謡」で世界をグルーヴする韓国人DJの軌跡
「短歌は好きのレベルを超えている」韓国人の歌人カン・ハンナは言った

20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。

【参考記事】「中国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた中国人たちの物語

20200204issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月4日号(1月28日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【中国人編】」特集。声優/和菓子職人/民宿女将/インフルエンサー/茶道家......。日本のカルチャーに惚れ込んだ中国人たちの知られざる物語から、日本と中国を見つめ直す。


●お知らせ
弊社刊行「Pen」誌の最新号は「平壌、ソウル」特集です。

pen20200215issue_cover150.jpg

【特集】平壌、ソウル
エレキベースを抱えた少女とギターを抱えた少女。
彼女たちが暮らすのは、北緯38度の軍事境界線を挟んで約196㎞の位置にある、平壌とソウル。
もとはひとつの国に暮らし、同じ言葉を話す人々が分断されて、70年以上が経った。
日々、両国のニュースは流れてくるが私たちはどれだけのことを知っているだろう。
偏見や思い込みから逃れて、初めて見えてきた2つの巨大都市のリアルを示す。

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ

ビジネス

中国、ハードテクノロジー投資のVCファンド設立=国

ワールド

金・銀が最高値、地政学リスクや米利下げ観測で プラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中