最新記事

新型肺炎

中国、新型コロナウイルス死者361人でSARSを上回る 株価急落1日で43兆円が吹き飛ぶ

2020年2月3日(月)18時50分

中国湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスへの感染による中国国内の死者は361人となった。写真は上海で2日撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

中国湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスへの感染による中国国内の死者は361人となった。春節(旧正月)の連休明け最初の取引となった3日の中国株式市場では、1日で時価総額約4000億ドルが吹き飛んだ。

1月23日以来の取引となった中国の株式市場と商品市場では、取引開始から大きく売り込まれる展開となった。1月23日の時点では死者数は武漢市の17人にとどまっていた。

中国国家衛生健康委員会によると、2日時点で死者数は前日から57人増え、361人となった。新たに感染が確認された人は2829人で、感染者数は1万7205人に達した。

中国国内の死者は、2002─03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回った。

ロイターの試算によると、株式市場では約4000億ドルが失われ、上海総合株価指数は8%急落し1年ぶり安値を付けた。

人民元は年初来安値で国内市場の取引を開始。上海の鉄鉱石、銅価格は値幅制限いっぱいの下げとなっている。

人民銀は3日、期間7日と14日のリバースレポを実施し、総額1兆2000億元を供給した。

また、中国政府は2日、生活必需品を製造する企業が春節休暇明けに早期に操業を再開できるよう支援する方針を示した。国営放送CCTVが李克強首相主宰の会議での発言として伝えた。

中国石油化工集団(シノペック)は、今月の1日あたりの処理能力を約60万バレル削減すると発表。業界関係者4人によると、これは昨年の1日あたり平均処理能力の12%程度に相当する。

ただ、中国の多くの省はウイルスの感染拡大を防ぐため春節休暇を延長しており、湖北省では労働者が職場に戻るのは2月13日以降となる見通しだ。

武漢などは引き続き事実上の封鎖状態にあり、中国と海外との間の航空便運航も制限されている。

中国国外では、日本のほか米国、タイ、香港、英国など20以上の国と地域で少なくとも171人の感染が新たに確認された。

国営メディアは、武漢で建設されていた病床数1000の病院が完成し、3日から新型肺炎の患者を受け入れると報じた。この病院は1月25日に建設が始まり、7500人を超える作業員を投入して8日間で完成した。

さらに病床数1600の病院も建設中で、5日に完成の予定。

各国が武漢から自国民を退避させる動きも続いている。

ポンペオ米国務長官は3日、中国湖北省から自国民を退避させるため、チャーター機を追加で派遣すると発表した。

ロシアは3日に武漢からの自国民の退避を開始。中国との鉄道の直接乗り入れも停止した。

オーストラリアは3日、子どもを含む243人を武漢から退避させた。退避者は今後、北西沖にある離島で隔離される。

ドイツのシュパーン保健相は2日、主要7カ国(G7)が新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、政策協調の手法を模索していると明らかにした。

*内容を追加して再送します。

[北京 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200211issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月11日号(2月4日発売)は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集。歌人・タレント/そば職人/DJ/デザイナー/鉄道マニア......。日本のカルチャーに惚れ込んだ韓国人たちの知られざる物語から、日本と韓国を見つめ直す。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中