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感染症

新型コロナウイルス死者106人、北京でも 世界株安進行、米国は中国への渡航自粛勧告

2020年1月28日(火)15時55分

高まる批判

李克強首相は武漢市を訪問し医療関係者を激励、支援拡大を約束した。青色の保護衣とマスク姿の首相は、今後2日間で2500人の医療関係者が武漢入りするとしたほか、新病院の建設予定地を視察した。

一方、検閲が厳しい中国のソーシャルメディア上で、新型コロナウイルスを巡り当局者への批判が高まっている。

湖北省では、提供されるマスクの数を巡り知事が会見中に発言を2回訂正したことに批判が集まった。武漢の周先旺市長は、市の対応が「十分ではなかった」と認め、辞任の意向を示唆した。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のあるユーザーは「彼(知事)がデータを何度も間違えるのであれば、感染がこれほど急速に広がるのも無理はない」などと書き込んだ。

人口が約1100万人に上る同市は、春節の連休の中で事実上の閉鎖状態にあり、湖北省も大半で移動が制限されている。ウェイボーでは「湖北省出身者は差別を受けている」との投稿も見られている。

中国は対策強化

中国は感染拡大の防止策を矢継ぎ早に打ち出している。鉄鋼業の集積地である河北省唐山は、市内のすべての公共交通機関の運行停止を発表。北京公交集団は、河北省に向かうバスサービスの大半を28日から停止することを明らかにした。

国家移民管理局は、国境をまたぐ人の移動を抑制するため、海外旅行の時期を見直すよう国民に促した。

政府系紙によると、天津市は新型肺炎の感染者の治療に特化した病院を用意する。

また新華社によると、チベット自治区は27日から、すべての観光地を一時的に閉鎖した。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は28日に会見し、香港と本土を結ぶ高速鉄道を30日から運休し、本土と行き来するフェリーの運航も停止すると発表した。

ラム長官によると、本土向けの飛行機の運航便数が半減する見通し。また本土から香港への個人旅行の認可手続きを一時停止するとした。

欧州では中国へのツアーを中止する業者も出ている。

フィリピン移民局は28日、中国人を対象としたフィリピン到着時のビザ発給を停止した。

米フェイスブックは、中国本土への不要不急の渡航を差し控えるよう従業員に促したことを明らかにした。

北朝鮮は、新型コロナウイルスの拡大阻止に向け、中国経由で入国した外国人すべてに1カ月の隔離措置を適用する。在平壌のロシア大使館が北朝鮮外務省から通知されたことをフェイスブックで明らかにした。

タイ観光当局は、中国人観光客の訪問者数が今年は200万人減少し900万人になるとの予想を示した。

*内容を追加しました。

[上海 27日 ロイター]


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