最新記事

中東

イラン・ハメネイ師、ミサイル攻撃で「米国に平手打ち食らわせた」 国民に結束求める

2020年1月18日(土)10時19分

イランの最高指導者ハメネイ師は金曜説教で、イラクの米軍駐留基地に対するイランのミサイル攻撃について触れ、大国の「顔に平手打ち」を浴びせるにあたり神の加護があったことを示していると述べた。写真はイラン・テヘランで8日撮影(2020年 ロイター/Official Khamenei website)

イランの最高指導者ハメネイ師は17日、8年ぶりとなる金曜説教で、イラクの米軍駐留基地を狙ったミサイル攻撃について触れ、イランは米国の「顔に平手打ちを食らわせた」と述べた。また自国の核プログラムを巡る対立を受けて米国が科した制裁にイランが屈服することはないと強調した。

テヘラン中心部の大型祈祷ホールには数千人が集まり、建物の外にも人があふれ、「アメリカに死を」と叫んだ。

ハメネイ師は「イランが大国にこうした平手打ちを浴びせる力があるという事実は神の手を示している」と指摘。米国が革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことについては、米政権の「テロリスト気質」が表れていると述べた。

コッズ部隊は対外工作を取り仕切る重要組織だが、ハメネイ師はソレイマニ氏の活躍は今後も引き継がれるとし、コッズ部隊が「抑圧に苦しむ地域中の国々を守る」と表明した。

またウクライナ民間機の誤爆は悲劇であり、ソレイマニ司令官殺害を目立たなくするために米国やその同盟国が利用した非常に悲しい出来事だと表現。「わが国の敵どもは革命防衛隊や軍部隊を弱体化させるために、言い訳を見つけては喜んでいたのだ」と語り、2月に行われる国会選挙を前に国民に理解と結束を求めた。

イランは当初、ウクライナ機の事故を「技術的トラブル」と説明していたが、その後イラン軍による誤爆であると認めた。これを受け各地で市民らによる大規模な抗議デモが相次いでおり、政府への風当たりが強まっている。

ハメネイ師は、英仏独がイランへの国連制裁の再開につながる紛争解決手続きに踏み切ると発表したことについて、これら欧州3カ国は信用できないとした上で、イランに圧力をかけるための3カ国の行動がうまくいくことはないと主張した。

米国務省のフック・イラン担当特別代表は、イランの脅威は同国のさらなる孤立を招くだけだと警告した。

[ドバイ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権がロス市提訴、ICE業務執行への協力制限策に

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック最高値更新、貿易交

ワールド

G7外相、イスラエル・イラン停戦支持 核合意再交渉

ワールド

マスク氏、トランプ氏の歳出法案を再度非難 「新政党
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中